2017
本年の営業を無事終えることが出来ました。
今年も皆様に支えて頂きましたことに御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。
1月5日より通常営業します。
皆様の御来店を心よりお待ち致しております。
今年は夏のニューヨークの出来事が強烈過ぎて、それ以降が抜け殻となってしまいました。
3月と7月にニューヨークの展示会へ出展しながら、GROOVERのセールスも行いました。
3月の展示会では成果が芳しくなく、急遽7月の再渡米を決めて結果が出なかったら撤退する覚悟でした。
幸い7月に少なからず成果が上がり、それ以上にもっと違った世界があるかもしれない事に気付くことが出来ました。
海外出張の話をすると多くの方は羨ましいと言われるのですが、本音を言えば飛行機に乗る2週間くらい前から憂鬱になります。
長旅で朝から晩まで駆けずり回るので体力的にも厳しいです。
成果を出さなくてはならないプレッシャーも大きいです。
深夜から朝に帰国してその日から働かなくてはなりません。
それでも今は少しだけチャンスが見えているので、何とかやれていると言ったギリギリのところです。
今回、V MAGAZINE JAPANの巻頭特集はSelima Salaunさんの特集でした。
Selima Optiqueという眼鏡業界人だったら知っているブランドのデザイナー兼オーナーです。
私が個人的に撮影した写真が使用されているので、プロのカメラマンさんに向ける姿より自然体なセリマさんを捉えています。
私はセリマオプティークではなく、Selima Salaunさんを特集する事に大きな意味があると考えていました。
彼女は眼鏡店の店主でありオプトメトリストです。
つまり眼鏡店のサロンワークをしながらブランドを展開し、デザインも手掛けています。
私がお店を訪れたいずれの日も、セリマさんをお目当てに多くのニューヨーカー達が集まってきました。
NBAの昨年のMVPであるラッセル・ウェストブルックやノアも顧客だそうです。
私も眼鏡店をやりながらデザインワークをしているので、立場は似ています。
私個人の見解ですが、やはり直接お客様に向き合っていないと眼鏡のデザインは難しいと思っています。
多くの眼鏡専業デザイナーは、「デザイナー」という肩書に一種の聖域的なバリアを張って立場を守っています。
専業デザイナーであるならば、常にデザインを提案し続けるべきですが、現状の眼鏡デザイナーは保守的です。
日本のデザイナーさん達は特に顕著なのですが、似てるものや売れるものを作り続けています。
勇気を持って自分の心の底から湧き出たものを表現して欲しいし、それがまた新しい価値や市場を生み出すと私は信じています。
彼女と多くの時間を過ごし、Selima Salaunさんの”生き様”を垣間見た気がしました。
以前、日本製ブティックブランドのBADAを80年代に世界で初めて紹介したLinda Deplaciesさんの取材を本ブログで紹介させて頂いた事がありました。
リンダが私に言った言葉が忘れられません。
「私は女性だから80年代当時のグローバルなビジネスは大変だった。」
恐らくセリマさんがニューヨークで確固たる地位を築くまでに、相当な事があったと容易に想像が付きます。
しかし、リンダさんもセリマさんも柔和でガツガツしていません。
いつも笑顔を絶やさず人の意見をゆっくり聞き、強い自己主張をしません。
当然、内面には強い幹がありますが、それを人に向けないところに凄みを感じます。
80年代から今に生きるレジェンドな女性はカッコイイですね。
眼鏡業界を盛り上げてくれそうな女性たちと最近多く出会うので、今後の彼女たちの活躍に期待しています。
ブルックリン在住の眼鏡デザイナーのMark Craigさんにも会いに行きました。
ACTIVISTというブランドのデザイナー兼オーナーです。
スピリットテンプルと呼ばれる二又の変わったデザインが特徴のブランドです。
実はACTIVISTのケースやメガネ拭きを生産している工場を知っていたのですが、「面白いことやってるブランドがあるな」と気になっていました。
その時はACTIVISTだとは気づかなかったのですが、今回の訪問で「マークか!」と驚き、盛り上がってしまいした。
ケースを始めとしたパッケージの見せ方が素晴らしく、パスポート風のギャランティーカードに全てマーク自身がシリアルNOを打っています。
梱包もマーク自身が行っており、非常に刺激を受けました。
残念ながら日本に代理店が無く、ACTIVISTの商品を展開できなくて残念だと言っていました。
今後、何かのお手伝いが出来れば良いなと思っております。
とにかく会いたい人や会ってみたい人に会えた年でした。
そしてまた1月にニューヨークへ向かいます。
ここぞとばかりに入り込めてきたので、色んな物を吸収したいと思っております。
大晦日に長文となってしまいましたが、これからのメガネナカジマとって非常に大きなヒントを掴んでいます。
既に大きな方向転換に入っており、これからの眼鏡店のあり方を模索しています。
やはり眼鏡店が面白くないといけません。
秋以降、少し息切れしてしまいましたが、またエンジンを掛け直したところです。
来年もメガネナカジマをよろしくお願いいたします。
スタッフ一同
中島 正貴
有限会社スクランブル 代表取締役
1999年にメガネ業界に入る。新宿の紀伊国屋にあった三邦堂(閉店)でドイツ式両眼視測定を学ぶ。2006年よりメガネブランド「GROOVER」を立ち上げ、国内外の展示会へ出展する。2011年より世界初のレンズカスタムレーベル「GOODMAN LENS MANUFACTURE」を立ち上げる。2016年より世界のアイウェアシーンで有名なアイウェアマガジン「V.MAGAZINE」、アイウェアエキシビジョン「V.O.S」の日本開催権を取得。ネコ・パブリッシングの協力により「V.MAGAZINE JAPAN」の刊行と、「V.O.S TOKYO」を開催する。2021年には日本発のスポーツサングラスブランド「XAZTLAN」を発表。2022年、メガネの「ホントにミニマムな国際展示会RAMBLE」を7年ぶりに復活。2023年、5坪のメガネ屋「陽ハ昇ル GROOVER×XAZTLAN」を表参道にオープンさせるなど精力的に活動中。
職歴
・メガネナカジマ代表
・陽ハ昇ル GROOVER×XAZTLAN オーナー
・GROOVERデザイナー
・GYARD主宰
・XAZTLAN(ザストラン)ファウンダー
・東京セイスターグループ理事
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