偏光レンズを語る 第1回 [偏光レンズとは]

このところ偏光レンズの新製品が多くリリースされていまして、今まであまり真剣ではなかった大手レンズメーカーも本腰を入れ始めました。
私が以前に書いた記事よりも大幅にアップデートされていたり、皆様が見られている他サイトの情報も古かったりすると思うので、全5回に分けて現時点での状況を解説していきたいと思います。

まずは「偏光レンズ」とはなんだ?という初歩的なところからスタートさせて頂きます。

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・偏光レンズの効果は?
・偏光レンズの構造は?
・偏光レンズの素材は?
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偏光レンズは古くから釣り人に愛用されてきたレンズで、↑の画像のように水の中が見えるんです。
1937年に「ポラライド」社が偏光サングラスを誕生させ、今では液晶ディスプレイにも使用されている、割とポピュラーな構造なのです。

 

偏光フィルムが偏光を実現


偏光レンズは↑のような偏光フィルムが入っており、このフィルムが光を整え反射を取り除いてくれるのです。

このフィルムを使わない偏光レンズが近年登場し、イノベーションが起こり始めました。
コーティングで偏光レンズを実現していくのですが、まだまだ割高です。

 

偏光レンズの構造


レンズとレンズの間に偏光フィルムがサンドされていて、反射光のような角度のついた光を通さないため、反射を取り除いてくれます。

とても面倒くさい話なのですが光が物体を通るときの屈折率というのがあり、メガネレンズでは数値が高ければ高いほどレンズは薄くなります。
1.50 → 1.60 → 1.67 → 1.74といった具合に薄型化します。

偏光フィルムの屈折率とCR39素材の屈折率が近いため、偏光レンズはCR39素材が良いとされてきました。
日本で一番偏光レンズが有名なメーカーである「TALEX-タレックス-」社が、CR39素材を多くラインナップされているのはその理由だと思います。

ただ度付メガネレンズにおけるCR39素材は過去の素材となって来ており、度付レンズは1.60(薄型)以上の屈折率を使うのが一般的です。

偏光レンズを語る上で、「度付」なのか「度なし」なのか?でベストセレクトが変わってきます。
その他に「カラー選び」「設計」「コーティング」などのお客様のリクエストから、最適な偏光レンズを導き出していくのがメガネナカジマの仕事と言えます。

 

レンズ素材による歪みについて


偏光フィルムとレンズ側の屈折率と密接に関わるのが素材です。
↑の画像は偏光レンズをフレームに加工する前の「CR39素材」と「ポリカーボネート素材」の歪み比較です。

ご覧の通り一目瞭然でCR39素材の方が歪みが少ないです。

この歪みの発生は材料ごとの硬化時間が影響しており、どうすることも出来ない課題です。

 

CR39 VS ポリカーボネートの強度を解説


CR39素材は割れやすくポリカーボネート素材は丈夫です。
しかし歪みに対する光学性はCR39素材のほうが優位です。

ポリカーボネートの弱点を補ったトライベックスという素材も登場しました。
NXT・カッチュウ・フェニックスといった商品名ですね。

当然これらの素材選びは用途によって使い分けられます。
ドライブする方にポリカーボネートを不要ですし、サバイバルゲームでしたらCR39素材は除外となるわけです。

 

液晶製品との干渉


カーナビやスマホなど液晶製品にも偏光フィルムが使われているため、フィルム同士の”干渉”という現象が起こってしまいます。
これは角度によって真っ暗になってしまったりする現象で、画面が滲んで見えることもあります。

魚探を見る船頭さんや、計器類が液晶化されたパイロットの方には悩ましい事象です。
車のカーナビも少し暗くなると言ったことが起きてしまいます。

 

偏光度とレンズ濃度

まずTALEXさんのホームページにある画像を御覧ください →こちら

偏光レンズに少し詳しい方を接客させて頂きますと皆様「偏光度99%」という数値を上げられます。
確かに”偏光度99%”を望まれるのは理解できます。
しかしこの偏光度の算出は少々”マジック”がありまして、すべての”偏光度99%”がキレイに偏光してくれるわけではありません。
レンズの濃さが密接に関係しており、濃いレンズほどキレイな偏光効果を生み出してくれます。

「偏光度99%」で透過率30%(あまり濃くない)偏光レンズを生み出したTALEXの凄さがここにあったりするわけです。
今回、このような偏光レンズの解説を書くにあたり、一番分かりやすくユーザーに偏光レンズを説明しているのがタレックスだと再認識しました。

ですので、「偏光レンズを語る」 第2回はTALEXさんです。
お楽しみに!

 

 

 





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