人はなぜレイバンを選ぶのか。その魅力を徹底解剖。その2

どんなにファッションやアイウェアに疎い人でも、その名を知らない人はいないんじゃないでしょうか。そして初めてサングラスを買うとなったら、間違いなくその候補の一つに挙がる……。それほどメジャーなブランド「レイバン」の歴史や人気モデルを紹介します。今回はサングラスをカルチャーに変えた名機“ウェイファーラー”に迫ります。

 

戦後の新しい価値観の中で生まれた最先端デザイン

ウェイファーラーは1952年にボシュロム社のデザイナー、レイモンド・ステグマンによって生み出されました。第二次世界大戦が終結し、高度経済成長の絶頂期を迎えたアメリカでは戦時中に抑圧されていた娯楽や物欲が一気に解放されたこともあって、戦前にはなかった新しい生活様式や価値観が芽生えます。ガレージ付きの一軒家に流線型のクルマ、TV、冷蔵庫、乾燥機。若者たちの間ではロックンロールが流行り、ジーンズがファッションの最先端に。様々なジャンルで革命的な事物が起こった時代。


ステグマンはイームズチェアとキャデラックのテールフィンからインスピレーションを拾い、このサングラスをデザインしたそうです。ウェイファーラーは今でこそクラシックの代表格ですが、実はこの時代の最先端をいくデザインだったのです。

 

映画、音楽、ファッションが共鳴するサングラス


レイバンのティアドロップ=アヴィエイターは、ハードなギアからライフスタイルへと進化しましたが、ウェイファーラーは最初からファッションとして大衆に受け入れられた、アメリカで初めてのサングラスだったと言えるでしょう。そのカッコよさを広めたのは流行に敏感な若者たち、とりわけ前時代の大人たちが受け継いできたドレスコードを破った当時の“不良”たちと彼らが崇めるロックミュージシャンたちでした。その流れは’80年代まで続き、音楽の多様性とともに多くのミュージックアイコンたちに愛用されます。エルビス・コステロ、マイケル・ジャクソン、ジョージ・マイケル、ビリー・ジョエル、マドンナ……。

こうしてマスカルチャーへと昇華したウェイファーラーは映画への登場も多く、中でも「ブルースブラザーズ」や「卒業白書」はこのサングラスが象徴的に使われた作品の代表格とまで言われています。その人気は浮き沈みを繰り返しながらも今日まで続いており、現代のセレブリティの中にも多くの愛用者がいることは、誰もが知る事実ですよね。

 

変革を恐れず、進化し続けるクラシック


ウェイファーラーにも苦難の時代があり、特に’90年代はラップアラウンドのスポーツサングラスに押されてしまいます。しかし2000年代になると、過去のプロダクト、ヴィンテージやクラシックなアイテムに目を向けるムーヴメントが世界的に広がります。レイバンはその風を上手くキャッチし、かつて「B&L 5022」として名を馳せたオリジナルのウェイファーラーを「RB2140」として復活させました。ウェイファーラーの巻き返し劇が幕を開けると、その流れは加速します。


マーケットの若返りを図るべく大胆なブランディングが行われ、中でもクラシックの殻を破った「ニューウェイファーラー」や「ウェイファーラー フォールディング」、「バイカラー」など、斬新なモデルが次々と誕生しました。

またレイバンはローカライズにも力を入れており、日本人の顔の骨格にフィットしにくいウェイファーラーに、より快適なフィッティングを得られる“フルフィットモデル”「RB2140F」を展開し、日本のファンの絶大なる支持を得ることに成功しました。王道でありながら変化を恐れずに前進したことで、ウェイファーラーは世界中の老若男女から愛される存在となりました。まさに「進化し続けるクラシック」と呼べるのではないでしょうか。


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