似合うメガネを選ぶには、掛けるシーンも考慮すべし
さて、今回も似合うメガネ選びについての話。
選びのポイント、3つ目の「オケージョン」です。
オケージョンとは、「場合」という意味。「行事」や「儀式」といった意味もあり、ファッションにおいて「オケージョンスタイル」というと、冠婚葬祭や式典などに着ていく服装のことを言ったりします。
メガネには服装のように明確なマナーやルールはありません。とはいえ、誰でも日々の生活のなかには様々なシーンがあり、ときには印象の強すぎるメガネを掛けることが憚られる場面もあるでしょう。
このように「このデザインは、掛けていく場所やシチュエーションに適しているか?」というのもメガネ選びのポイントになります。「メガネを掛けた姿が、何だかしっくりこない」原因には、“シーンに適した着こなしに、メガネが合っていないから”という場合も少なくないんです。
たとえば、ビシっとしたスーツ姿に、真っ白なキャンバスのトートバッグを持っていたら、「ちょっとバッグがカジュアル過ぎるのでは?」と思ったりしますよね(お洒落巧者の高度なハズしは別として)。靴や鞄をシーンによって使い分けるように、メガネもシーンにフィットしたものを選んだほうが、悪目立ちするのを回避することができるというわけです。
やはり、フォーマルなシーンには、基本的にはフォーマルな印象のメガネがフィットします。決して、地味なデザインのものを選べということではないですよ。スニーカーではなくて、革靴を合わせる感覚といったらいいでしょうか。
たとえばスーツに合わせるなら、明るい色の樹脂製フレームやボリュームのある無骨なウェリントンなどよりは、シックなメタルフレームのほうが知的に見えるでしょう。プラスチックフレームならば細身のほうが品が良く見えるし、いずれの素材でも作りの良さが映える上質なものを合わせたほうが、目元に風格が生まれます。
それゆえ、休日にスウェットを着てお店で選んだメガネが、スーツの時にもしっくりくるとは限りません。メガネを買いに行くときは、“そのメガネを使うときの服装”でお店へ行くことも大切です。オンビジネスのスーツ着用時に使うメガネならば、休日でもスーツを着て選んだほうが、イメージが掴みやすく、スタッフから適切なアドバイスも受けられるでしょう。
オンとオフの使い分けから始めてみては?
まぁ、現在は昔ほど「ビジネスにはメタル」「冠婚葬祭にはシンプルなもの」といった暗黙のルールみたいなものはないとは思うのですが……。それでもなぜ「オケージョン」を選びのポイントに入れるかというと、すべてのシチュエーションを1本のメガネで賄おうとすると、「コレ!」と思えるものを選ぶのが難しいからです。
オンとオフだけでも使い分ければ、メガネ選びの幅はぐっと広がります。仕事などで掛けられるデザインに制約があるのなら、1本はそれに準じたものを。もう1本は、何にも囚われず自分の好きなデザインを選んでみてはいかがでしょう? どんなシーンにも対応できるものと考えると難しいけれど、自由に選んでよいとなれば、メガネ選びはぐっと楽しくなるはずです。
似合うメガネ選びの3つのポイント、「サイズ」「テイスト」「オケージョン」。それぞれの解説が長くなってしまい恐縮です。あくまでメガネ選びを楽しんでほしいので、これらのポイントをガチガチに意識しなくても構いません。でも、頭の片隅で何となく意識してもらうだけでも、より自分に合ったメガネに出会うことができると思います。
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伊藤 美玲
眼鏡ライター
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』『眼鏡Begin』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN』『文春オンライン』『めがね新聞』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆している。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』ではメガネの世界の案内人として登場。眼鏡の国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査委員も務める。
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