買ってよかった。アラフォー&アラフィフ男のメガネ・サングラス5選
これまで男がグッとくるメガネ、役立つメガネを紹介してきましたが、今回はアイウェアジャーナリストとして僕が実際に入手し、長い間使用してみて「買って良かった!」と、おススメできるメガネとサングラスを、掛けるシーンや装いの話を交えながら紹介しましょう。タイトルの“アラフォー&アラフィフ”。ずいぶん範囲が広くないか?とお思いでしょうが実際のところ、ここで紹介する5本のフレームのほとんどは僕がアラフォー時代に手に入れて(中にはアラサー時代もあるかも)、アラフィフとなった今も愛用し続けているんです。つまりそれだけ使える、そして気に入っているアイウェアだということなんです!
CHECK!!
SELIMA OPTIQUE(セリマ オプティーク)
世界を震撼させた9.11以降、華やかなアイウェアデザインの世界から距離を置いていたN.Y.のデザイナー、Selima Salaunさんがパリの展示会“SILMO”に復帰した2012年に発表した、色鮮やかなカラーバリエーションのボストンフレーム。
彼女はその時の心境を「あの事件当時は誰もが打ちのめされていて、私はアメリカの復興に尽力していました。そしてようやく人々が前へ進むことにポジティブになったことで、ふたたびコレクションを発表することにしました」と語っていました。
誠実なイメージのボストンシェイプに、クリアイエローのフレームと同色のレンズという組み合わせは、前向きに立ち上がるアメリカの空気を代弁するかのようで惹かれました。
誠実さの中に遊び心があるので、タイドアップしながらもワーク系素材&アイテムで外しを加えたスタイリングにハマります。
EFFECTOR(エフェクター)
過去記事「男のメガネ考」“サーモントブロー”その1のタイトル画像にも登場したEFFECTORの“delay Ⅱ”は30代の中頃、世間がウエリントン推しだった時代に昭和のオヤジ臭漂うサーモントブローを探していたところ、イメージにピッタリな本作に出会いました。
オヤジ臭を中和するために薄いブラウンのレンズでカスタムしました。出自的にはクラス感のある装いが定石ですが、あえて不良っぽいライダースジャケットに。
これが意外としっくりとハマってしまい、以来本格的にカジュアルにサーモントブローを楽しむようになりました。唯一、Tシャツやタンクトップとは相性が合わないかなと思います。
GROOVER SPECTACLES(グルーヴァー スペクタクルズ)
元ネタはグレイトフルデッドのピッグペンが愛用した溶接工のメガネですが、僕の中では’80年代のミュージックシーンが原風景。ポリス時代のスティングやカルチャークラブのボーイ・ジョージ、はたまたレベッカのノッコがラウンドのサングラスを愛用しており、彼らへの憧れが重なって一目惚れです。
2013年に発表された、ツーブリッジのメタルフレームにゼロカーブのレンズ。こんなヒップなサングラスはこの時代のアイウェア界には皆無でしたが、本作が登場した翌年に、このスタイルが世界的に大流行したという逸話があります。
ちなみにこれを掛けて某有名デザイナーに会いに行ったらベタ褒めされ、翌年に「あのサングラスにインスパイアされて新作をつくりました」とパクリ告白されたことも。
’80年代のミュージシャンがストーンウォッシュのGジャンをオーバーサイズで着て、ラウンドサングラスを掛けていたのを現代風にアレンジしてデニムのセットアップに合わせるのがマイブームです
ROYAL(ロイヤル)
すでに消滅したナゾのジャパンブランドの’80年代と思しき大ぶりのティアドロップは、知り合いの眼鏡店に眠っていたデッドストックをせしめたもの。これが意外にも優秀で、素材はチタンが台頭する以前に金属アレルギーを起こさないと謳われた“サンプラチナ”製。
メッキではなく地金のシルバーが綺麗で、弾力のある縄手(ケーブルテンプル)で掛け心地抜群なのです。ティアドロップだからとサングラスにはせず、少しブラウンの色が入ったレンズでオプティカルフレームに仕立てて日常使いしています。
特に’70~’80年代のテニスプレイヤーが、この手のメガネを掛けているシーンが印象的なので、ヴィンテージスタイルのTシャツとの相性バツグン。ティアドロップ=ミリタリースタイル、みたいなステレオタイプな装いは頑なに避ける。これがオレ流(笑)です。
MYKITA(マイキータ)
ic! BERLIN(アイシー! ベルリン)時代から、イノベーションとファッションを結び付けてきたデザイナーのフィリップ・ハフマンズさんとハラルド・ゴシュリングさん。彼らがマイキータ5周年の年に発表したモデルです。
時はクラシックブームが猛威を振るっていた2009年。どのブランドもクラシックデザインを無視できない状態でした。そんな中でマイキータが繰り出したのが、サーモントのデザインエッセンスを得意のスクリューレス(ネジなし)ヒンジの構造に落とし込んだ本作。
クラシックを自分たちのデザインに取り込もうと挑戦するブランドも少なくありませんでしたが、そのほとんどが迷走するなかでその壁を突破してマイキータらしいデザインに昇華した傑作品、と僕は位置付けています。
このミクスカルチャー感はストリートファッションそのもの。ということでストリートの象徴、ステューシーのワークシャツと。もちろんビジネスシーンにこのフレームを取り入れても新鮮かもしれませんね!
いかがでしたでしょうか?こうして自分の愛用するアイウェアを並べてみると、普段のワードローブのベースや発想と同じく、オールドアメリカンなテイストだということが再認識できます。つまりあなたご自身のファッション感を見つめなおせば、おのずと手に入れるべきアイウェアが見えてくるはず。もし僕とベースが一緒なら、まずは上記のブランドから探してみてはどうでしょうか?
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実川 治徳
フリーランスライター
アパレルブランドの店長、プレスを経て2000年からフリーランスライターとして活躍。アイウェアやファッションに特化した記事をメディアに寄稿し続ける。2005年から眼鏡の専門誌として知られるワールドフォトプレス発行の「モードオプティーク」にて、アイウェアの国際展示会SILMのリポートを執筆し、世界中のデザイナーと親交を深める。2016年からはネコ・パブリッシングがバックアップする「V MAGAZINE JAPAN」の編集・執筆を手掛け、世界のアイウェアシーンを発信する。フリーランスのフットワークの軽さを活かし、現在はメガネブランド「GROOVER SPECTACLES」の北米向けセールス&プロモーションを担当。
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