お洒落な男性に3本目のメガネを‼ 今買うべきビンテージ&アンティークフレーム

視力の低下から消極的な理由で適当に選んだメガネ。それが、メガネ遍歴が深まるにつれ「見えればいいや」から「どうせ掛けるならお洒落なフレーム」、さらに「他とは違うワンランク上を」と意識が変わってくる方も多いんじゃないでしょうか。今回はすでに3本目、4本目のメガネに「他とは違うワンランク上を」探している諸兄に、魅力的な『ビンテージフレーム』、そして『アンティークフレーム』をおススメします!

 

ビンテージフレーム、アンティークフレーム。その違いは?

“ビンテージフレーム”は主に1950~1980年代に造られたメガネを指すのが一般的で、それよりも古い年代になると“アンティークフレーム”と呼ばれる傾向にあります。1950年代をその境界線にしているのは、この時代より以前はゴールドを始めとするメタルフレームが主体であり、1950年代を境にプラスチック製のメガネが台頭することに由来します。現在クラシックフレームとカテゴライズされているメガネは、これらのデザインを現代の素材や製法でアップデートしたもの、といった感じでしょうか。

おススメのビンテージ「VIPセーフティー」とは?

ビンテージフレームというと昔の著名なメガネブランドを紹介するのが定石ですが、今回僕がおススメしたいのは「VIPセーフティー」という“ジャンル”です。

モノづくりの工場では、作業時に出る粉塵や鋭利な部品の破片が目に当たらないよう、セーフティーゴーグルの着用を義務付けている会社が多いかと思います。現在、そのデザインはスポーツサングラスタイプが普及しています。しかし1950年代の現場ではプラスチック製のメガネフレームがその役割を果たしていました。

第2次世界大戦の戦勝国となったアメリカは大恐慌(後述)時代から続いていた不景気を解消し、経済を完全に立て直します。戦争で制限されていた一般市場への経済活動が再開され、製造業は工場をフル稼働させたのです。そんな時代だからこそ必要とされていたのが、安定したクオリティで大量生産が利くプラスチック製のセーフティーグラスでした。

工場側が一般労働者に支給したセーフティーグラスの多くは地味なスクエア型が多く、いずれも大量生産型でガシガシ使うタイプでした。一方で、工場には本社からの経営者や重役クラス、そして得意先の役員も視察や商談に訪れます。その際に彼らホワイトカラー向けに用意されていたのが、AO(アメリカン・オプティカル)やTITMUS(ティトマス)、Bausch & Lomb(ボシュロム)といった、アメリカの産業を担ってきた重鎮カンパニーが専用に作っていた、VIPセーフティーと呼ばれる「重役クラスのためのセーフティーグラス」でした。


では実際にVIPセーフティーがどんなものか見ていきましょう。一般労働者はデニムやダック素材のワークウェアにワークブーツを着用して作業していますが、工場視察のエクゼクティブクラスは仕立ての良いスーツのピカピカの短靴姿が基本。そのスタイルに似合うようデザインされたVIPセーフティーはだから威厳に満ちた重厚感があって、カッティングなどにも洗練さが見て取れます。

現代のクラシックフレームに相通じるウエリントンやボストンシェイプに、ブラックやブラウンだけでなくマーブル柄やクリアグレー、なかにはグラデーションの効いたカラーなど、実に多彩なフレームが存在します。それでいて石油分を多く含んで耐久性に優れたプラスチック素材や頑丈なヒンジといったセーフティーグラスであることの矜持が見られるのが魅力です。まさにラギッドジェントルマンとはこのこと。デザインは真似できても、素材が醸す質実剛健さまでは再現できないシロモノなのです。

おススメのアンティーク「金張りフレーム」とは?

ビンテージフレームより、さらに古い時代のメタルフレームには、また違った魅力が詰まっています。中でも1930年代付近のアメリカ製アンティークの「金張りフレーム」は格別で、この時期のプロダクトをしてメガネの“黄金期”と言わしめる存在なのです。あえて1930年代付近と言及したのには理由があります。それは単純に、古いから希少だというものではありません。


ここでちょっと歴史のお勉強。第1次世界大戦が終わると、アメリカはバブル景気に沸き上がります。上流階級の華やかな暮らしぶりは、映画「華麗なるギャツビー」の世界そのもの。それが1929年の秋、一気に大不況へと急降下します。世界大恐慌です。札束はもはや紙切れ同然で、高級アパートを追い出されたかつての上流階級者は路上生活を強いられるハメに。そんな状況で華やかなアクセサリーを手掛けてきた多くの宝飾職人たちも職を失いますが、そんな彼らの新たな活躍の場が当時のメガネメーカーでした。


宝飾品の精巧な技術を生かし、繊細なメタルブリッジ、テンプルに至るまでに施された彫金模様は筆舌に尽くしがたい美しさを見せてくれます。加えてフレームそのものも白眉で、アメリカ政府はなんとか経済を立て直そうと輸出を強化するのですが、金を多用する製品に税制優遇措置を与えたのです。そのため当時のメガネメーカーはふんだんに金を使ったフレームをつくった、というわけです。

今では失われてしまった職人技術と、時代が故に実現できた豪華な仕様を現代の世に、製品として再現することはほぼ不可能です。まさに親から子、孫、曾孫へ受け継ぎたい、それくらいの価値があるといえるでしょう。

ビンテージ&アンティークのメガネは、どこで誰から買う?

ここまでタップリ、コッテリとVIPセーフティーと金張りアンティークフレームの魅力を語りましたが、興味はあるけどどこで買えばいい? また壊れたら修理はできるの? といった疑問や不安が出てきますよね。アンティーク雑貨店にもこうしたフレームが置かれていることがありますが、正直言って経年による劣化や年代、コンディションの善し悪しは、素人目には判りませんよね。そこで最後に、間違いのないビンテージ&アンティーク選びの模範解答となるブランドを紹介します。


アメリカ西海岸に拠点を置く「RETRO SPECS(レトロ スペックス)」社のビンテージ&アンティークコレクション“The Spectacles(サ・スペクタクルズ)”です。このカンパニーはビンテージメガネの蒐集家、ジェイ・オーウェンズさんが起業したもの。彼は全米中を旅して、倉庫に眠る貴重なデッドストックのフレームやパーツを掘り出してはレストアし、それを滞在先のメガネ店に売ることで次の町へと渡り歩くヒッピーのような生活をしていたそうです。その過程で各時代のカタログや資料なども蒐集し、膨大な量のパーツをすべて形状やサイズ別にインデックス化して、レストアした後に製品として販売しているのです。

もちろん使用に耐えられないほど老朽化したフレームやパーツは除外され、経年変化したパーツは再研磨や調整が施されているのでクオリティの高さはお墨付き。また金張りフレームは当時、フロントリム(枠)とブリッジ、テンプルのサイズを組み合わせるセミオーダー形式だったので、そのシステムも再構築。顧客がどのパーツとサイズの組み合わせで購入したかもデータ化しており、修理の際にはネジ1本から膨大にストックされている同じパーツ――もちろんアンティーク――を使うので安心です。

 

こうした古いフレームは売ったらそれっきり、というアンティークショップが多い中で、当時のブランドや年代、デザイン、サイズなどを徹底して管理して販売、アフターフォローできるカンパニーは他にありません。日本でも全国に“Spectacles”のコレクションを扱うストアがあるので、百聞は一見に如かずとぜひとも手に取ってみてください。文字通り“ワンランク上”のメガネをお探しの諸兄にとって、家宝となる逸品と出会えることは間違いありませんぜ‼

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