フルフェイス・ヘルメット愛用者におすすめのバイク用メガネとは? かけ方もこれで解決!

はじめに

これまで2度にわたってバイク乗りのサングラス・メガネについて配信しましたが、いずれも筆者の実体験がベースのためにジェット・ヘルメット(=以下、ジェット)ユーザー寄りの記事でした。そこで今回はフルフェイス・ヘルメット(=以下、フルフェイス)ユーザーに最適なメガネを考察していきましょう。

フルフェイス・ヘルメットとメガネの関係を良好にするための、4つのポイント


なぜ普段使いのメガネ、あるいはジェットで掛け慣れているメガネではなく、フルフェイスを別枠で考える必要があるのか? それはフルフェイスとジェットでは、ヘルメットの形状が異なるためで、選びの基準や相性が良いメガネのカタチが異なるからです。

 

➡ポイントその① 掛け外しが容易なストレートテンプルがベスト

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被った状態でメガネを着脱することが大前提となるフルフェイス。着脱が容易なテンプル形状であることが理想です。その最たるものがテンプル(ツル)がまっすぐなストレートテンプル。この形状ならスッと抜き差しできるので、一気に煩わしさから解放されます。以前から推しているアメリカ軍のアヴィエイターグラスは特に有名で、ジェット戦闘機のパイロットが被るハードシェルのヘルメット(ちなみに、これがジェットヘルメットの語源になっています)の採用を始めた’50年代から採用していることもあり、極めて実用的だと言えます。

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ストレートテンプルだけでは選択肢が狭いので、その他の対応策も紹介しましょう。一つはメガネを誂える時にテンプルの先端、モダン(耳に掛かる部分に被せたアセテート)のカーブを眼鏡店で浅めに調整してもらうこと。そしてもう一つは画像のモデルのように、モダンなしのフレームを選べば引っかかりがなく、メガネの掛け外しが楽になります。


チェックポイントとして気を付けたいのはモダンの内側。メガネのズレ防止のためにシリコンなどのすべり止めパーツを内側に装備していると、ヘルメットと頭のクリアランスが狭くて髪の毛が引っ張られて痛いこともあるので要注意。とはいえ最近のヘルメットの中にはメガネのテンプルを通す隙間を設けているものもあるので、ヘルメットの内装との相性はチェックすべきでしょう。

 

➡ポイントその② 薄型のシートメタルや細身のメタルテンプルでロングツーリングも快適

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ヘルメットは内装のクッションで適度に頭をホールドするよう設計されていますので、テンプルは薄型であることが望ましいです。お勧めは厚さ1~2mm程度ながら剛性もあるシートメタル、もしくは昔からある棒状のメタルテンプル。プラスチックテンプルでも厚みを抑えたタイプであれば許容範囲でしょう。


これはジェットとも共通する問題になりますがテンプルの幅、厚みにボリュームがあるデザインであったり、モダンに厚みがあるとヘルメットの内装から外圧が加わってくるため、その状態を長く続けると運転に集中できないくらい、こめかみが痛くなることも。

またストレスのない掛け心地を目指して柔軟性に特化したフレームなども、ヘルメットの内圧で歪んでしまい正確なアイポイント(左右の目の中心部。眼鏡士は個々人で異なるアイポイントに合わせて、最適なレンズを設計します)がズレてしまいます。普段の生活では役立つ機能も、ことヘルメットを併用するとデメリットに転じてしまうので、適材適所を心掛けたいところですね。

ついでに申し上げると、テンプルがヘルメットの奥行より長いとフロントが前に浮いてしまうので、テンプルの長さもチェックが必要。レンズと目の距離が適切でないとフィット感が悪いばかりか、目に見えるものの距離感や位置感が正確でなくなり、事故の原因になります。

 

➡ポイントその③ リムが細身のフレームで視界を広く

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フルフェイスはただでさえ視界が限定されるので、可能ならそれ以上視界を狭める要素を減らしたいところです。それにはプラ・メタルともにリム(レンズを固定している枠)が細身のフレームを選ぶのが吉。太くて無骨なフレームは狭い視界をさらに狭めることになり、バイクの運転もおぼつかなくなります。またアイホールの枠に干渉する大きめのデザインもヘルメットの内装に押されて走行時にズレて圧迫感を覚えたり、レンズの中心部が外れることで満足する光学性能を発揮できません。


特にバイクのライディングは後方確認が必須ですが、その際視界にリムが映り込んでしまうと正確な状況判断の妨げになります。リムとテンプルを繋ぎ合わせるヒンジ=丁番より下の部分は嫌でも視界に入りますのでテンプルを含め、この部分はスッキリしたデザインであることが理想です。


もっとも裸眼に近いメガネと言えば“リムレス”、あるいは“ツーポイント”と呼ばれるものがありますが、ご覧の通りの華奢な構造。視界確保の点からは最高なのですが剛性面ではフルリム(レンズがリムで覆われているデザイン)には劣ります。休憩時の掛け外しでメガネをうっかり地面に落すことの多いバイク乗りには向かないので対象外としました。


事故による頭部の怪我に対して、より広い範囲を護ることがフルフェイスの使命です。同時に事故の原因となる危険を回避するためには広い視界を確保することも大事。それゆえヘルメットメーカー各社はその両立に心血を注いでくれています。限られたスペースで設けられたアイホールの広さをスポイルしないアイギアを選ぶことで安全性を確保しましょう。

 

➡ポイントその④ ハイテクアイテムで眩しさとはおさらば

フルフェイスのシールドは有害な紫外線から目を護ってくれますが、眩しさからは守ってくれません。眩しさを軽減するには透過率の低い、つまり色の濃いシールドを使用するか、クリアシールドにサングラスを掛けるのが一般的な解決策。しかし朝から晩まで走るライダーの場合、日中用と夜間用を携行しなければならないのは面倒です。

ならば過去記事「バイカー目線で選ぶサングラスは、調光・偏光レンズがおススメ!」で紹介した、調光レンズや偏光レンズは? というとフルフェイスとの相性はよろしくありません。フルフェイスに標準装備されるシールドのほとんどが、UV(有害な紫外線)をカットするポリカーボネイト製。紫外線量で色の濃淡が変化する調光レンズは、紫外線がカットされたシールド越しでは機能しません。一方の偏光レンズもシールドのわずかな歪みやキズを偏光フィルターが拾って、視界を歪ませてしまうんです。両者ともにジェットでは最高のマッチングなのですがフルフェイスとの親和性は良くないのです。

 


しかし何気にネットをググってみたらびっくり仰天。今では“トランシションズ エクストラアクティブ”を始め、紫外線だけでなく可視光線でも調光が機能するレンズがありました。国内でも本気の眼鏡店で扱っているようです。

さらにヘルメットメーカーやバイク関連のメーカーが奮闘してくれているおかげで、新たな解決策がいくつもあるのです。


たとえばヘルメットメーカーの御大、SHOEIからはフォトクロミックシールド、つまりメガネレンズと同様の仕組みによる調光シールドが販売されています。同社の一部モデルに限定されますがSHOEIユーザーには吉報ですね。


 


また同じくSHOEIにはスモークのインナーバイザーが装備されたヘルメットもありますね。シールドの下にもう一枚、上下にスライドする色の濃いバイザーがあるので日中はインナーバイザーを下ろし、曇天や夜間はバイザーを上げることで常に快適な視界を確保できます。


 


さらに画期的なのがe-TintというメーカーのAKARI AX12、という電子調光式シールドインサート。これは既存のヘルメットシールドの内側に貼り付けるタイプのインサートで、液晶技術によりスイッチ一つで瞬時にシールドの明暗が変化するという優れモノ。


 

メガネ用レンズはもとより、ヘルメット関連の技術革新も目を見張るものがあります。メガネライダー長年のモヤモヤから解放されるこれらのアイテムも活用したいところです。

 

まとめ

いかがでしたか? かく言う僕はバイク人生の大半をノーシールドのジェット&サングラスを貫き通してきましたが、目下新しいバイク(BMW R90)の購入を画策中。これならばフルフェイスもアリだなと、すでに廃盤となっているBUCO RACERを新調した次第。快適なフルフェイスと快適なメガネで、皆さんもぜひバイクライフを楽しんでくださいね。

おっと、最後に一番大切なことを言い忘れていました。フルフェイス用にメガネを新調する時はライディングに使うヘルメットを、その逆でメガネライディング用にフルフェイスを新調するならメガネをそれぞれのお店に持参してください。フルフェイスとメガネの相性を判断できるのは、両者を持ち寄って試着するのがベストウェイだからです。では!



 

 

 

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