第六話この世に当たり前なんてことはひとつもない

駅のホームで電車を待つ右手にはスマホ、左手には鞄を持っていた。
四季は春を迎えようとしているがまだ少し冬が顔を引っ込めようとせずに寒さを忘れるな!と言わんばかりに夜は冷え込んだ。

事件は20:20、駅のホームで電車を待っている時におこった。

 

一つの癖かもしれないが、私は現場に到着する時はめちゃくちゃ早いか、ギリギリかのどちらかしかできない、
ええ感じの10分前や5分前みたいなやつができない。

今日は前者のめっちゃ早い感じで行動していた。
最寄駅電車を待っていると、予定の時間を来ない。
ダイアが乱れてるとアナウンスがかかる。
いつもなら気持ちは焦る。
だが今日は早め早めの行動を取っているのだ。
焦ることなんてない、焦る必要なんて毛頭ない。
へっへーん、遅延め私が焦ると思ったら
ざぁんねんでしたぁ〜!焦っりーませーん!\(°∀° )/

とキモい文章を考えながら電車を待ってる、なう。

電車予定の時間より5分過ぎた。

まだ間に合う。

予定の時間より10分過ぎた。

まぁ、まだ間に合う。

予定の時間より15分過ぎた。

まぁ、、あの2分オーバー、やけど、
まあ、ダッシュすれば大丈夫。

電車の乗車時間は15分ほど。
入りは20:45。

まって、オワッタ。
もうダメだ間に合わない。

と、書き綴る20:35。

当たり前に来ると思っていた電車が来ないことに喪失感がドッと湧き上がる。
タクシーを使い現場に急行。
仕事に遅刻は厳禁、原稿の遅刻も厳禁。
ポリシーとしてマナーとしても許せない。
タクシーを降り、現場に到着し楽屋に入る。
ギリギリだが間に合いほっと胸を撫で下ろすのも束の間スタッフさんの声が聞こえる。

「じゃあそろそろ、収録お願いしゃーす。」

カバンを開け、眼鏡ケースを取り出そうとする。

 

ガサゴソ

ない

ガサゴソカサゴ

無い

ガサゴソカサゴソレサカナ

ナイ

 

眼鏡ケースがない。

「めがねさん、お願いしゃーす。」

2度目のしゃーす。が聞こえる。

無いなんてことはナイと、また鞄の中を弄る。

「めがねさーん?そろそろお願いしゃーす。」

3度目のしゃーす。3度目の正直ですよ、そうですよ、眼鏡さんそろそろお願いしますよ、出て来てください。

鞄をひっくり返す。

ない。

ないったらないったらない。(レミーの美味しいレストラン)

眼鏡が無い。

 

 

ラジオが始まる。
オープニングトーク5分間

「私、本日めがねをしておりません!!!」

「ダメじゃん。」

 

終わり。

 


ラジオできたコメント

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