【後編】渋谷メガネ”RAMBLE”の日 2024 レポート
前回に引き続き、去る4月9日~11日まで、原宿表参道で開催された「渋谷メガネ“ランブル”の日」のリポートをお届けします。すでに動画もアップされている通り、今回も引き続き好評のメガネ番組『スマホ見えていますか?』に加え、来場者や関係者のスナップ写真、そして志高い小売店に向けたカンファレンス“THE VISION”も開催。とかく商談のみに終始しがちな既存の展示会とは違った風景と、その熱気に包まれていました。では引き続き、出展ブランドのリポートをご覧ください。
CHECK!!
CRYSTAL (クリスタル)
視るものすべてをクリアに、そしてドラマチックに演出するガラス製調光レンズを搭載
前回のランブルで初上陸を果たし、進化した“ガラス製偏光レンズ”の驚異的なポテンシャルを知らしめた台湾のサングラスブランド『CRYSTAL』。日本にも取り扱い店が増え始め、確かな手応えを感じているようです。今年は新たにステンレスフレームのシリーズを発表。また日本市場に向けたグリーン系のレンズを搭載したモデルも。日本の夏の情景をもっと美しく見せてくれる、そんな期待を抱かせるコレクションを披露してくれました。
ガラスレンズと言えば重くて割れたら危険、というデメリットが挙げられますが彼らのガラスレンズ(しかも偏光レンズ)は強度に秀でて軽量、さらに傷つきやすいミラーレンズの表面は強固なコーティングが施され、傷がまるでつかないんです。ブランドマネージャーのEdwardChiuさんがレンズを落としたり引っ搔いたりするデモンストレーションを目の前で体感したバイヤーたちが、その高い機能性に驚いていたのが印象的でした。
XAZTLAN (ザストラン)
ゴールに到達する最短距離を指し示してくれる、プロユースのスポーツサングラス
野球選手や競輪選手、そしてアルピニスト……。試合に勝つために、あるいは前人未到を制覇するために、プロフェッショナルたちに選ばれるギア。ザストランは各フィールドで活躍する彼らに愛用されている、日本のスポーツサングラスブランドです。さまざまなシーで使われることを想定したデザイン&ファンクションを具現化した既存の4つモデルに加え、今シーズンはついに待望のニューモデルが仲間入りを果たしました。
そのニューモデルがこちら。かつてオークリーで、全盛期の伝説的なモデルを生み出してきた元デザイナーが手掛けたのが今作。ハーフリムタイプのフレーム構造に加え、頬の凹凸に合わせたレンズのカッティングが特徴で、広い視野を手もとや足元までカバーしてくれるデザインです。そして要となるレンズは独自に新開発されたコントラストレンズを搭載しており、ベストパフォーマンスを発揮できる1本になりそうです。
CHUMS (チャムス)
アウトドアな休日のモチベーションをアゲてくれるサングラス&リテイナーが目白押し!!
日差しが強くなって夏のような気温に、それでいて湿度は低くて快適なシーズンが到来した今、キャンプやアウトドア・アクティビティに出掛けたいスイッチが入るものですよね。それはつまり、チャムスのアウトドア・アイテムが大活躍するシーズンでもあります。とりわけブランド誕生のキッカケとなった“リテイナー(グラスコード)”は元気の出るカラーバリエーションが目白押し。そして前回から充実し始めたサングラスも絶好調なのです。
そんな新作サングラスから2本をピックアップ。左右のテンプルにアシンメトリーカラーを配したり、クラシカルながら飾り鋲がマスコットのブービーバードだったり、とチャムスらしいポップさが込められています。そしてともにテンプルエンドがリテイナーをしっかりホールドできる形状で、またノーズパッドもズリ落ち防止に貢献するラバーを用いるなど、気の利いた機能も。使うシーンを想像するだけでワクワクしてきちゃいますね。
ACCRUE(アクルー)
才能に溢れるコンポーザー=作曲家たちのパーソナリティーをカタチに込めたアイウェア
ヨーロッパやアメリカ、そしてアジアと世界中のアイウェア展示会でメキメキと頭角を現している『ACCRUE』ですが、春の東京ではアイウェア界の異端児たち(笑)が集うランブルの常連ブランドであります。すでに日本市場でもファッションやアートなど、さまざまなカルチャーシーンに造詣の深いショップに並んでおり、いち早く同ブランドに目を付けてきた感度の高いエンドユーザーがこぞって手にしている、という状況なんです。
アクルーはシーズンごとにしっかりとテーマを決め、それらの世界にインスパイアされたコレクションを展開しているのが特徴です。今季は“COMPOSER=作曲家”がテーマでジェームズ・ホーナーやハンス・ジマー、坂本龍一、ハーヴィー・ハンコックなど、近代の著名なアーティストに焦点を当てています。音楽に新風を吹かせた彼らのように、掛ける人のライフスタイルに変化をもたらせてくれるのではないでしょうか⁉
GROOVER SPECTACLES (グルーヴァー・スペクタクルズ)
独自路線を貫くゆえに、世界のあちこちで増殖を続けるグルーヴァーホリックたち
市場の動向やデザイントレンドといった業界の流れに迎合せず――デザイナー本人曰く、好き勝手にやっている――創りたいカタチを生む。『グルーヴァー スペクタクルズ』は、その姿勢から滲み出てくる独特のシェイプが海を飛び越え、アジア各国ではすでに不動の人気を誇っています。またフランスを中心に欧州における認知度も徐々に高まりを見せ、その国でしか手に入らない別注のローカルモデルなども存在するカルトなブランドです。
そんな同ブランドは近年、日本の工業製品技術の粋を集めた特別なコレクションである『BTG=ビヨンド・ザ・グルーヴァー』の新作が目につきましたが、今季は2枚羽根のアイコンをもつデザインに注力するとのこと。過去の傑作、レキシントンやスラッシュの流れを汲んだエッジーな“THRUXTON”、奥行きのある肉厚な生地を削り出したオクタゴンシェイプの“6 pm”の2モデルがレギュラーコレクションに加わりました。
MN (エムエヌ)
3Dプリンターによって実現化が可能になった、デザイナーのクリエイティビティ
『グルーヴァー スペクタクルズ』のディレクター兼デザイナーの中島正貴さんが、創りたくても技術面を始め、さまざまな要因で実現できないデザイン。それを3Dプリンターで表現するのが、プライヴェート・プロジェクトとして発足した『MN』です。彼が手掛けている既存ブランドの枠組みから解き放たれたクリエイティビティが炸裂する刺激的なカプセルコレクション。その極めて実験的な試みが今春のランブルでお披露目されました。作品は、一つが『22°アイウェア』のPazo Hoさんとのコラボモデル。中島さんによる立体的で複雑なデザインをPazoさんが構築したネジを使わないオリジナルのストラクチャーで仕上げる、という独創的なものです。そしてもう一つはスチームパンク全開のゴーグル型サングラスで、レンズを除くフレームのすべてが一体型。どちらも現在のところ販売はごく限られた販路のみとのことですが、今後の動向が気になりますね。
実川 治徳
フリーランスライター
アパレルブランドの店長、プレスを経て2000年からフリーランスライターとして活躍。アイウェアやファッションに特化した記事をメディアに寄稿し続ける。2005年から眼鏡の専門誌として知られるワールドフォトプレス発行の「モードオプティーク」にて、アイウェアの国際展示会SILMのリポートを執筆し、世界中のデザイナーと親交を深める。2016年からはネコ・パブリッシングがバックアップする「V MAGAZINE JAPAN」の編集・執筆を手掛け、世界のアイウェアシーンを発信する。フリーランスのフットワークの軽さを活かし、現在はメガネブランド「GROOVER SPECTACLES」の北米向けセールス&プロモーションを担当。
この記事へのコメントはありません。