【前編】RAMBLE METROPOLITAN 2024レポート
暦の上ではもう秋だというのに汗ばむ陽気が続いた10月でしたが、その暑さの原因はもしかして10月15日(火)~17日(木)まで開催されたメガネの展示会『RAMBLE METROPOLITAN』のせいでは⁉ というのは、もちろん冗談です。ですが春と秋の年2回で催される同展示会、今回は特にアツアツの大盛況だったことは間違いありません‼ そこで、恒例となったランブル メトロポリタンの現場リポートをお届けしましょう。
2022年の春に非常に小さな展示会としてスタートしたRAMBLEも6回目を迎え、回を重ねるごとに認知度をジワジワと上げてきています。特に今回は常連から新規まで13ものブランドが参加し、それに伴って来場者数もグンッと伸びたことで会場は熱気でムンムン。飛び交う言語も日本語から中国語や韓国語、英語やフランス語までと、まるで海外の展示会に迷い込んだ様子でした。さらには各ブランドが密接に情報交換したり、互いの強みを共有するコラボレーション企画があったりと、他の展示会ではまず見ない光景が繰り広げられていたのが印象的でした。
CHECK!!
1.ABSOLUTE VINTAGE(アブソルート・ヴィンテージ)
小規模かつハイセンスなブランドが軒を連ねるクリエイティブ総合施設で、香港でもっとも注目を浴びる人気スポット“PMQ”。今回初参加の『アブソルート ヴィンテージ』は、そのPMQにショップを構える実力ブランドです。アート性の高いホーンフレームと、ヴィンテージをアップデートしたフレーム、と二つのコレクションを展開。その他、眼鏡ケースやアセテートを用いたリング、バレッタなどのアクセサリーも手掛けています。
バッファローホーンを粗く削り出し、その荒々しさを表現した“Johnson Rd.”を始め、ホーンのコレクションには植物鞣しによる分厚いレザーケースが付属するなど、スペシャル感満載! 一方のレギュラーコレクションは、ヴィンテージフレームをベースとしながらモダンなカラーやシェイプでアップデート。“Kotewall Rd.”や“Pedder St.”など香港の通りの名前が付けられているのもローカル感があってヨロシ。
オフィシャルサイト
https://absolute-vintage.hk
2.OGK KABUTO(OGK カブト)
サイクリストの快適性と安全性に特化した、ヘルメットを始めとするギアを開発する『OGK カブト』は、空洞実験のノウハウを生かしたアイウェアもラインナップしています。中でも“FA1”は視界を一切遮らないリムレスの一眼式レンズを採用しており、レンズ素材は超軽量かつ強度に優れたNXT製。さらに天候に応じてレンズカラーが変化する調光機能を搭載する優れモノ。特にサイクリスト人口の多い国では随一の人気を誇ります。
FA1はレンズ以外にもテクノロジーが投入されています。レンズに直接接続するテンプルは45%エコ素材を使った超軽量樹脂、アルケマ社のリルサンポリアミド“G850レニュー”を採用。またテンプルはラチェット機能付きで、レンズの角度を微調整できるのもサイクルユースならでは。レンズとともに軽量性に貢献し、総重量はラインナップ中で最軽量の23gをマークするなど、このミニマルデザインに高機能がギュッと凝縮されているんです。
オフィシャルサイト
https://www.ogkkabuto.co.jp
3.Akira Ishiwatari DS(アキラ イシワタリ)
日本ではなかなか見つけられないような色使いや一目でそれと判る特徴的なフォルム、と巨匠石渡旭さんによる独特のデザインマナーが、唯一無二を求める世界中のセレブリティを魅了する『アキラ イシワタリ』。日本製の素材や部材を使いながら、イタリアのファクトリーでつくるという生産背景までもがユニークなことから“日本ブランド”とカテゴライズすることができない、ボーダレスな存在です。
今回ピックアップしたプロダクトは、コロンと丸くてネーミングも可愛い“Ocha cha”、ハッとするような、それでいてどこか懐かしさを感じるカラーを纏った“GLAM”、他にはないミルキーカラーのブローパーツとテンプルをもつコンビフレームのシリーズから“Buena”。どれもが「これぞアキラ イシワタリ」にしか表現できない造形美、と言いたくなるような、美しくて楽しいデザインです。
オフィシャルサイト
https://akiraishiwatari-designstudio.com
4.CLAYTON FRANKLIN(クレイトン フランクリン)
クラシックな中にも現代的な素材やクオリティを織り交ぜて美しいアイウェアを輩出し、日本国内はもとより海外でも人気のブランド『クレイトン フランクリン』がRAMBLEに初参加しました。同ブランドは、チタンによる流麗なストラクチャーのメタルフレームやインナーセルで縁取ったコンビネーションフレームを得意とし、まだじっくり手に取ったことのない海外のバイヤーやデザイナーも、その美しさに魅入られていました。
そんなクレイトン フランクリンのプロダクトを見てみましょう。上から/板バネの弾性を利用したノーズやトップブリッジなど、まさに機能美を体現した“CF659”、海外からもラブコールのあるツーポイントをセル枠で縁取った“CF663”、繊細なアウトラインにセル枠を組み合わせ、目元にアクセントを与える“CF661”など、どれもため息が出るほど綺麗なデザインを具現化。世界中で注目される理由が解かりますね。
オフィシャルサイト
https://claytonfranklin-spectacles.com
5.CHUMS(チャムス)
シーンに応じたカラフルで心地良い素材感のリテイナー(グラスコード)を筆頭に、ポップなデザインのキャンプギアや温かくてリラックス感のあるウェアなどをラインナップし、遊び心のあるアイデアや色使いでアウトドアシーンを楽しく彩ってくれる『チャムス』。実はRAMBLE史上、最多出場となる常連ブランドの一つで、いつも展示会場を元気いっぱいの快適空間にしてくれるムードメイカーでもあるんです。
そして忘れちゃいけいのが、彼らのリテイナーを装着するのに便利な形状のテンプルや、自然の中や都会で視界を快適にする偏光ポリカーボネイトレンズを標準装備したチャムスオリジナルのサングラス。フレーム素材には超軽量にして植物由来でバイオマス度45%の素材“リルサン・クリアG850レニュー”を使用しており、自然を愛するブランドならではのアウトドア精神が、サングラスにもしっかりと受け継がれているんですね。
オフィシャルサイト
https://www.chums.jp
6.ACCRUE(アクルー)
『アクルー』はヨーロッパ最大級のアイウェア展示会、フランスのSILMOやイタリアのMIDOにも出展し、世界中で確たる地位を築いているブランド。「目はすべての認識の始まりで、認識はインスピレーションの源」と説き、シーズンごとにインスピレーションの源泉となるテーマを掲げてデザインと融合させてコレクションに昇華しています。今シーズンのインスピレーションは“Sculptor”と題し、彫刻家たちの美学を表現しています。
上から/スクウェアシェイプでミニマムなラインをバイレットカラーにすることで、柔らかい印象の“Louise”。’80年代のニューブリティッシュ・スカルプチャーを代表するアニッシュ・カプーアに因む“Anish”は、細身のアセテートで仕上げたギークなデザインが秀逸。力強いレクタングルシェイプのサングラスは著名な作品、考える人を生み出したオーギュスト・ロダンの表現力に触発された“Rodin”。
オフィシャルサイト
https://accrue.kr
実川 治徳
フリーランスライター
アパレルブランドの店長、プレスを経て2000年からフリーランスライターとして活躍。アイウェアやファッションに特化した記事をメディアに寄稿し続ける。2005年から眼鏡の専門誌として知られるワールドフォトプレス発行の「モードオプティーク」にて、アイウェアの国際展示会SILMのリポートを執筆し、世界中のデザイナーと親交を深める。2016年からはネコ・パブリッシングがバックアップする「V MAGAZINE JAPAN」の編集・執筆を手掛け、世界のアイウェアシーンを発信する。フリーランスのフットワークの軽さを活かし、現在はメガネブランド「GROOVER SPECTACLES」の北米向けセールス&プロモーションを担当。
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