
旅するメガネ人の交差点|メガネ展示会「RAMBLE 2025」レポート後編
去る4月8~10日に開催されたアイウェアの展示会、表参道メガネ“ランブルの日”の会場リポート、その後編をお届けします。前回お届けした動画もご覧いただけましたか!? ランブルはメディアミックスにも長けた展示会で、突如カルトな人気をもつ方々とのトークショーが始まったり、スナップ写真撮影会があったりと実にカオスでたのしい空間。そんな展示会に出展したブランドを前編に引き続き、覗いてみましょう。
CHECK!!
■22 ディグリー アイウェア 22°Degre Eyewear
香港アイウェア界の重鎮にしてマッドサイエンティストのPazo Hoさんが手掛けるのは、3Dプリンターを駆使したチタンをハンドメイキングで構築した、唯一無二なアイウェア。一見するとエキセントリックなデザインであっても、フレームバランスや独自設計のヒンジ、サステナブルな樹脂素材を多用するなど、非常に思慮深くつくられています。
不思議な構造のラウンドモデル“J8”や古典的なデザインをチタンと樹脂で立体的に構築した“J10”など、どれも2度見も3度見もしてしまうモデルがPazoさんの得意技。硬質なチタンも有機的に仕上げてしまう才能はどこから? 聞けば常に新しいアイデアが湧いてくるそうで「僕の頭の中には怪物が住んでるんだよ」と笑って説明してくれました。
オフィシャルサイト
https://22deyewear.com
■ザストラン XAZTLAN
プロフェッショナルなスポーツ選手やアルピニストも愛用するXAZTLANは、前回ブランド初のハーフリムモデルが発表されましたが、今回は新作なし?と思っていると実は見えない部分でパーツの形状などを常にアップデートしているそう。また特にプロスポーツ選手に人気のホワイトカラーをアクションライフスタイルの“CHEROKEE”に追加。
前回紹介した台湾の「CRYSTAL」のレンズを搭載したモデルも好調で、さらにはアウトドアやベースボールのギアブランドなどともコラボレートすることが決定しているそう。まだ未定ながら漁師⁉ とのコラボレーションも進行中とのことで、あらゆる面でおもしろそうなアクションが生まれています。そんなボーダレスなブランドから目が離せませんね!
オフィシャルサイト
https://official.xaztlan.com
■アブソルート ヴィンテージ ABSOLUTE VINTAGE
才能に溢れる香港のローカルデザイナーやアーティストたちが出店する香港島の“PMQ”や、荃湾(チュウン)エリアにできた巨大な商業施設“The Mills”などのランドマークにショップを構えるABSOLUTE VINTAGE。今や日本人が観光で訪れるほどの彼らが出展するのがランブルのスゴいところ。秀逸なプロダクトを連れて2度目の出展となりました。
彼らが手掛けるのは表面に焼きを入れたり、デコボコした表面を生かした完全ハンドメイドのバッファローンフレーム。これは注文をもらってから一本ずつ造るそう。そしてもう一方はアセテートを駆使したレギュラーコレクション。コンビフレームの“Theater Ln”のようにブランド名と同じくヴィンテージ感のあるスタイルをラインナップしています。
オフィシャルサイト
https://absolute-vintage.hk/
■チャムス CHUMS
「ラブアンドアドベンチャー」というテーマを掲げ、アウトドア・カジュアル・キャンプはもとより日常のライフスタイルから、はたまた宇宙からインスピレーションを受けたアイテムまで?気兼ねなく、そしてお洒落に使えるアイテムをプロデュースするCHUMSはランブルの常連ブランド。ブースだけでなくカラフルなアイテムで、ホッと休憩できるスペースも提供してくれています。
そんなCHUMSはリテイナー(グラスコード)がブランドのオリジン。新作リテイナーのバリエーションが盛りだくさんの他、小ぶりにリニューアルした偏光サングラスも取り揃えています。そしてギュッとしたくなるブービーバードの縫いぐるみは、なんと便利なサングラスホルダー。玄関に置いておけば帰ったご主人様を癒してくれそうです。
オフィシャルサイト
https://www.chums.jp
■グルーヴァースペクタクルズ GROOVER SPECTACLES
間もなくブランド始動から20周年を迎えようとしているGROOVER SPECTACLES。「常にその時々湧き上がるバイブスをカタチにしてきました」、というデザイナーの中島正貴さん。一方で初期の時代に創ったモデルを今の気分で再構築したいという気分に。今季はそんな過去作のモデファイモデルを加えた、新作3型が発表されました。
新型モデルは以前bootの記事でも紹介したB.C.G.を想起させるシェイプの“ATAPE”、普遍的なボストン型にクリアオレンジを添えた“REFLEXION”、名機“MERCURY”のデザインをベースにし、アップデートした “FINDER”。いずれも5mm厚の日本製アセテートを手作業で削り出し、時間を掛けて磨き上げた東京製法を踏襲しています。
オフィシャルサイト
https://groover.tv
■アクルー ACCRUE
古今東西の芸術に携わる仕事人やアーティストに敬意を表し、各分野とアイウェアを結び付けて各シーズンにテーマを掲げるACCRUE。今季のテーマは“Choreographer=コレオグラファー(振付師)”。身振りや表情などの動き=線で芸術を創造する振付師に触発され、人間の顔に直感的に線を描いて表現するアイウェアとの共通点をカタチにしています。
最近ではオーバル型が人気のようですが、これくらいの変化球がそろそろほしいところ。左上は細身のリムにブラックを挿してアクセントとした“Duchamp”、左は今季のテーマ―に則って数々のブロードウェイ作品を手掛けた振付師、アグネス・デ=ミルをイメージした“Agnes”。ちなみにこちらはブリッジの装飾が着脱可能、というのがポイント。
オフィシャルサイト
https://accrue.kr
■イン イヤー Yin Year
最後に紹介するのはランブル初出展にして、アイウェア展示会への出展も初というインイヤーです。実はブランド発足は2019年で、アパレル系のセレクトショップ界隈でファン層を広げてきたそう。“影のように、ともに年を重ねてほしい”という想いがブランド名に込められていて、コレクションはブラックカラーのみで構成しているんです。
先立つ人を想起させるのは服よりも眼鏡の方が印象強いもので、それも正面ではなく横顔だったり。亡き父の象徴だった眼鏡を愛おしそうに拭いたり、掛けてみたりする母もまたその眼鏡とともに想い出の一部に……。なんていうシーンをカタチに。だからコンセプトは「あなたの象徴、形見となり、継承されるもの」。なんかグッときちゃいません!?
オフィシャルサイト
https://www.yinyear.com
いかがでしたか?世界中のメガネ人が交差し、新しい出会いがあったり、新しいプロジェクトが生まれたり、ドラァグクイーンが配信したり(!)……と、ビジネスライクな展示会ではないようなハプニングが起こるのがランブルなんです。変化と進化を求めるメガネ人はぜひ次回のランブルに参加してみましょう!! ※一般のお客様は入場できません。

2025.05.26
旅するメガネ人の交差点|メガネ展示会「RAMBLE 2025」レポート前編
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2025.06.06
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実川 治徳
フリーランスライター
アパレルブランドの店長、プレスを経て2000年からフリーランスライターとして活躍。アイウェアやファッションに特化した記事をメディアに寄稿し続ける。2005年から眼鏡の専門誌として知られるワールドフォトプレス発行の「モードオプティーク」にて、アイウェアの国際展示会SILMのリポートを執筆し、世界中のデザイナーと親交を深める。2016年からはネコ・パブリッシングがバックアップする「V MAGAZINE JAPAN」の編集・執筆を手掛け、世界のアイウェアシーンを発信する。フリーランスのフットワークの軽さを活かし、現在はメガネブランド「GROOVER SPECTACLES」の北米向けセールス&プロモーションを担当。
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