メガネを掛けるなら知っておきたい“掛けこなし”の話
新年最初のコラムとなります。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、昨年は否応なく生活にさまざまな変化が訪れた年となりました。おうち時間が長くなったことで、メガネの出番が増えたという人も多いのではないでしょうか。“リモート映え”も注目されるなかで、それを意識したメガネ企画なんかもあったりしましたね。
デザイン的に“映える”メガネを新調するのも良いですが、じつはメガネの“掛けこなし”に少し気を遣うだけでも、見た目の印象が格段に見違えるんです。
服の着こなしならぬ、メガネの掛けこなし。重要なポイントは、“適切な位置”で掛けるということです。これだけなら、すぐ実践できそうでしょ?
レンズの上下幅に対して、黒目が中央に位置するように掛けること(写真右が正しい掛け位置、左に行くほどズリ落ちています)。これが、理想的な掛け位置です。レンズの上下幅がやや長めの眼鏡の場合は、黒目が中央よりも少し上ぐらいが良いでしょう。
メガネは顔の真ん中にくるものなので、この位置が少しズレてしまうだけで、印象は大きく変わります。つまり、せっかく似合うメガネを買ったとしても、掛けこなしを疎かにしてしまうと間抜けな印象を与えてしまえかねないということ。「メガネが似合わない」と感じる場合、その理由は掛け位置に起因していることも少なくないのです。
掛け位置のズレは見え方に影響を及ぼすことも
「見た目の印象は、そこまで気にならない」という方も、もう少しお付き合いを。なぜなら、掛けこなしは見え方にも影響を及ぼしてくるからです。
というのも、メガネのレンズには中心に「光学中心」といって、光学性能を最も発揮する部分があります。それゆえメガネを作る際には、フレームを適切な位置に調整したあと、黒目の位置(アイポイント)を測定。単焦点レンズであれば光学中心と黒目の位置を一致させて作成しています。また、累進レンズなどその他の設計においても、このアイポイントを基準に最適化させて作成されているのです。
簡単に言えば、メガネは正しい位置で掛けてこそ、レンズがその性能を発揮できるように作られているということ。それゆえ、メガネがズレる=見えづらくなってしまう、ということなんですね。
より良い“見た目”と“見え方”をキープするためも、メガネは正し位置で掛けることが大切です。気軽に外出しにくいご時世ではありますが、ぜひメガネはお店で定期的に調整してもらうことをおすすめします。
伊藤 美玲
眼鏡ライター
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』『眼鏡Begin』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN』『文春オンライン』『めがね新聞』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆している。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』ではメガネの世界の案内人として登場。眼鏡の国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査委員も務める。
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