「老眼」だっていいじゃない

「更年期の兆候が出始めていますね」。

先日、定期的に通っている病院でそう告げられました。
「私もすでに40代とはいえ、更年期はちょっと早くない……!?」
病室を出るや否や焦りで冷や汗が滲み出て、その現実を認めたくない自分がいることに気がつきました。

そして、同時に思ったのです。あぁ、眼科や眼鏡店で老眼を告げられたとき、多くの人はこうした気持ちになるのかな、と。

不安の正体


更年期だけではありません。じつのところ、最近は明らかに小さな文字が見づらくなってきました。化粧品の品番はとても小さな文字で書かれているのだけど、近視の私はメガネを外したほうがハッキリと見えます。

とはいえ、正直なところ私は老眼に対してはあまり抵抗がありません。そもそも、すでに常時メガネを掛けていますからね。老眼といっても、ピント合わせの方法が少し変わるだけ。レンズが変わるだけなので、誰かに気がつかれることもないでしょう。それに、仕事柄老眼についてある程度の知識があるし、相談できるお店もあるので、あまり不安はないんです。

では、なぜ更年期は受け入れられないのか……。それはきっと、私に更年期に対する知識がなく、対処方法がまったくわからないから。そう、知らないから怖いのだということに気がつきました。人はやはり、自分にとって未知のものには不安を感じるもの。そう、だからきっと老眼も更年期も、「抗う」より「受け入れて、知る」ことが大切なのだと思うのです。

まずは、現実を受け入れること

老眼とは、ひと言で説明するなら「目のピント調整機能の低下」です。
そのため、老眼鏡を作る際には(ざっくり言うと)“自分の見たい距離にピントが合う”ようメガネを誂えることが大事なのですが、じつはその一番重要なことが知られていないような気がしてなりません。多くの人が、正しい知識を知ろうとする前に「老眼という現実を受け入れたら負け」とばかりに、自己流のやり方で抗おうとしてしまう。それではいつまでも見えづらさは解消されず、老眼であることをますます受け入れられなくなってしまうでしょう。

 

画像:ペーパーグラス
……とはいえ、まぁ確かに「老眼」という言葉のインパクトは大きいです。40代にして、“目が老いている”と言われるわけですからね……。私が眼鏡店で接客を受けているときも、お店の方がなるべく老眼という表現を避けて話してくれていることが伝わってきます。きっと、老眼と口に出すことで、露骨に嫌がるお客様も多いのでしょう。

でも、避ける必要はないんですよ。だって、誰にでも訪れるものなのですから。

業界では、以前から「老眼」や「老眼鏡」という言葉をもっと耳障りの良い表現にしようという動きも見られますが、それだけでは根本は何も解決しません。メガネを掛けることが楽しくなるようなフレームの提案と併せ、“快適に見えることが、生活の質を高める”のだということを、もっと知ってもらうことが必要なのではないかと私は思います。

見えづらさを感じたら、すぐさま眼科や眼鏡店に相談することが当たり前なってほしい。でも、実際自分の友人知人からは「最近手元が見えづらくなってきたのだけど、どうしたらいい?」と聞かれることもしばしば。必要な情報が、まだまだ行き渡っていないことを実感します。

というわけで、このコラムでは次回以降も老眼についてもう少し詳しくお伝えしていく予定です。

老眼鏡を使用することに、抵抗感のある人は少なくないでしょう。これまでメガネを必要としていなかったなら、なおさらのこと。きっとそのハードルは、長年メガネを掛け続けてきた私には想像できないぐらい高いものかもしれません。でも、これからずっと付き合うことになる道具なのですから、抗うよりも、受け入れて楽しむが勝ち。私はそう思っています。

 

 

 

老眼対策グッズ



 

 

 

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。