「オトコのメガネ考」 “サーモント・ブロー” その1

この30年間、僕はメンズファッション誌を中心にライター業を営んでいますが、他方メガネに関する記事もコツコツ20年間執筆し、中でもブランドやその中の人、デザイナーの取材を重ねてきました。しかしながらそうして執筆した原稿は、僕の個人的な想いを語るに不十分だったといえます。いよいよコロナ騒動が引き金となって、メガネについて熱く語ることができる機会もどんどん減っていくと思い、自分の頭の中にある引き出しをいったん活字に吐き出して整理しようと思うに至りました。

であるからして、いささか偏った趣向ではありますがオススメのフレームデザインやブランド、そのこなし方などを男目線で提案しようと思います。題して「オトコのメガネ考」。

その第一弾としてバッターボックスに立つのは、万人ウケするウェリントンでもボストンでもなく「サーモント・ブロー」です

将軍の眉毛。サーモンと・ブローとは?

素材別にフレームをジャンル分けした場合、サーモント・ブローはコンビネーションにカテゴライズされます。レンズを支えるメタルリムの上部にプラスチックのパーツが眉毛=Eyebrowのように配置されているデザインを指しており、フロントシェイプが丸型や長方形であっても、このストラクチャーは基本的にサーモント・ブローと呼んで差し支えないでしょう。


ではサーモントという聞きなれない名前は何かというと、話は1950年代まで遡ります。ちょっと眉唾な話(あっ、眉毛だけに!)ですが、アメリカ軍(陸・海・空・海兵のどこに属するか、また正式な階級も不明)にMont(モンゴメリーとかの略かも? )という将軍がいたそうで、しかし彼は眉毛が薄かった。そこで彼は、アメリカ軍が懇意にする光学メーカーのひとつであるAO(American Optical)に、将校として威厳ある顔を演出するようなメガネのデザインを依頼したというのです。それが前述のように眉毛のラインに視覚的インパクトを与えるデザインで、AOは彼に敬意をこめてこれをSir(サー) Mont(モント)、と名付けた……。とはいえAO、ボシュ&ロムと並ぶ三大アメリカンアイウェアメーカーの一つ、シュロンがすでにそのデザインを発表していた、という説もあります。そのオリジンがどうあれ、1950~1960年代にサーモント・ブローはかのマルコムXを筆頭にアメリカの知識層、富裕層の定番となりました。

 

知識層の象徴からダサメガネ→ギークな小道具(今ココ)

ところが、このデザインが万人に受け入れられるようになると(ファッションもこういう傾向にありますが)、やがてサーモント・ブローは冴えないオッサンを象徴する“ダサメガネ”という不名誉なポジションに押しやられてしまいました。


何をやってもうまくいかないオッサンが狂気に走る映画「フォーリングダウン」でマイケル・ダグラスが掛けるサーモント・ブローの立ち位置は、まさにダサメガネの真骨頂。

そんなダサメガネのサーモント・ブローを1990年代終盤から2000年に掛けて、ファッションとして上手く変換する兆しが見え始めます。その潮流はストリートから発生したようで、ダサさを逆手に取って若者たちの間で“ダサカッコいい=ギーク”なメガネとして広まりました。

ならば今選ぶべきサーモント・ブローは?選ぶべきポイントは?というハナシですが、それは次回の記事でお伝えしたいと思います。ではまた!

「オトコのメガネ考」 “サーモント・ブロー” その2

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