偏光レンズを語る 第5回 [Kodak-コダック-]
最終回となりました「偏光レンズを語る」の連載ですが、お陰様でご注目を頂いておりアクセス数が多くなっております。
今回は「Kodak(コダック)」の偏光レンズについて語っていきたいと思います。
先に申し上げておきたいのは、今回は先日発売された「PolarMax PRO(ポラマックスプロ)」について集中的に語らせて頂きます。
コダックブランドも1.50素材、1.60素材で偏光レンズを発売しており、度付もちゃんとラインナップされております。
ただ1.50素材ではTALEX(タレックス)、1.60素材ではRARTS(アーツ)の偏光レンズが個人的に一枚上かな?と思っており、そこを比較してもメーカーの顔色を伺う記事になってしまいそうなので避けたいと思いました。
なので今回はコダック偏光レンズの強みと特徴が分かりやすい「PolarMax PRO(ポラマックスプロ)」にフォーカスしたいと思います。個人的には一番好きな偏光レンズです。
CHECK!!
偏光レンズの機能に”ネオコントラスト”がOn
そもそもネオコントラストは何ぞや?ってことなのですが、上図のとおり黄色い波長を大胆にカットしています。
通常のカラーレンズで同じ色を作っても、ここまで波長の曲線に谷を作ることが出来ないのです。
この谷の波長曲線が作り出す効果は”コントラスト”です。
ネオコントラストが作り出すコントラスト効果に偏光が乗ったレンズこそが「PolarMax PRO(ポラマックスプロ)」ということです。
上図はHOYA社のPOLATCH(ポラテック)グレー3色の透過率曲線です。
いずれも400~700nmの目に見える光の波長域はフラットです。
これにネオコントラストがオンすると、グレーでもコントラストが出るという魔法のレンズになるわけです。
OAKLEYのPRIZMブラックIRIDなども同じような発想ですが、ブラックIRIDと言ってもブラウンっぽいカラーの要素を足してコントラストを出しPRIZM化しています。
正直なところどうなの?
冒頭にも書きましたが、KODAK社の偏光レンズは1.50&1.60素材もラインナップされています。
コダックの偏光レンズにしか無いカラーもありますから、どうしてもこの色が欲しいとなれば選択して良いと思います。
「PolarMax PRO(ポラマックスプロ)」は他にはないネオコントラストの機能が付属しているので、車の運転とか雪国の方にはオススメです。
私はネオコントラストが出る前から、こういった透過率曲線に”谷”を作れるレンズがあったら良いなと考えており、ネオコントラストが登場したとき感動しました。
しかし、発売から10年以上の歳月が経ちますが、注目を集めたことはあまりありませんでした。
今回のポラマックスプロも少し地味な立ち位置ですが、特徴あるチャレンジをしていると思います。
店頭にサンプルがありますので、是非ともお試しくださいませ。
POLAMAX PROの度付・度なし別のレーダーグラフ(個人的な所感です)
↓度なし
カラー数:全5色で少なめ
品質:1.60素材が中心なので、耐性は強いが偏光性能は少し↓
コーティング:コーティングは優秀なラインナップを揃える
耐久性:1.60素材とコーティングの組み合わせ次第で◎
価格:ネオコントラストの機能が付加するので少し高め
↓度付き
カラー数:全5色で少なめ
品質:1.60素材が中心なので、耐性は強いが偏光性能は少し↓
コーティング:コーティングは優秀なラインナップを揃える
設計:現代的な設計の豊富さは少し劣る
薄さ:1.60なので薄型
【総評】
本音を言うと、もっと話題になってもっと売れても良いレンズだと思います。
かなり濃い色ばかりなので、効果があるかどうか分かりませんがUV420カットも標準装備。
プロモーションの仕方とか度付ラインナップのあり方とか、ブランディングの戦略的な部分で損をしているレンズだと思います。
そこが物凄く長けているのがTALEX社で、20年遅れぐらいで猛追しようとしてるのがRARTSって感じでしょうか。
HOYA社のポラテック同様に今までなかった技術にチャレンジしてるんだから、上手くPRしたら良いと思います。
とにかく試して使ってもらってのレンズだから、積極的にアンバサダーを募って使ってもらいフィードバックから生まれるものも吸収出来るといいですね。
個人的には一番贅沢な仕様で、一番好きな偏光レンズです。
中島 正貴
有限会社スクランブル 代表取締役
1999年にメガネ業界に入る。新宿の紀伊国屋にあった三邦堂(閉店)でドイツ式両眼視測定を学ぶ。2006年よりメガネブランド「GROOVER」を立ち上げ、国内外の展示会へ出展する。2011年より世界初のレンズカスタムレーベル「GOODMAN LENS MANUFACTURE」を立ち上げる。2016年より世界のアイウェアシーンで有名なアイウェアマガジン「V.MAGAZINE」、アイウェアエキシビジョン「V.O.S」の日本開催権を取得。ネコ・パブリッシングの協力により「V.MAGAZINE JAPAN」の刊行と、「V.O.S TOKYO」を開催する。2021年には日本発のスポーツサングラスブランド「XAZTLAN」を発表。2022年、メガネの「ホントにミニマムな国際展示会RAMBLE」を7年ぶりに復活。2023年、5坪のメガネ屋「陽ハ昇ル GROOVER×XAZTLAN」を表参道にオープンさせるなど精力的に活動中。
職歴
・メガネナカジマ代表
・陽ハ昇ル GROOVER×XAZTLAN オーナー
・GROOVERデザイナー
・GYARD主宰
・XAZTLAN(ザストラン)ファウンダー
・東京セイスターグループ理事
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