強度近視のメガネ選びに大切なこと
先日、「似合うメガネ選び」について某ネットメディアに記事を書いたところ、SNS上で様々な反応をいただきました。そのなかでも気になったのが「強度近視なので、せっかく似合うと思って選んでも仕上がりのイメージが違う」という意見。
私も強度近視なので、その気持ちはよくわかります。度数の入ったレンズにより自分の目が小さく見えてしまうから、度無しで試着していたときとはだいぶ目元のバランスが変わってしまうんですよね。昔はレンズが厚くなってしまう理由もわからなかったので、当時トレンドの横長フレームで度付きを作っては、仕上がりを見るたびにがっかりしていました。
でも今では多くの眼鏡店さんが、強度近視の人に向けたメガネ選びのコツを、自店のサイトでわかりやすく解説してくれています。
たとえば、近視のレンズは外径に向かうほど厚みが増すので、フレーム径の小さいものを選ぶと良い。レンズの中央の薄い部分を効率的に使えるよう、レンズの中央に瞳が位置するフレームを選ぶ。デルブーフ錯視を利用するべく、“小さくてフチが太く、色の濃いフレーム”がおすすめ。などなど……。
ざっくりな説明で恐縮ですが、このような内容は「強度近視 メガネ」などと検索すると情報がたくさん出てくるので、ここでは割愛します。
もちろん、こうした理屈に基づいた選び方は大切です。ですが、それに加えて“メガネ選びに対しての気持ち”も重要だと私は考えています。
度付きメガネの日こそ、最高の着こなしとメイクを
メガネを作るとき、そんなふうに考えていないでしょうか。そう、度付きのメガネ選びがうまくいかないワケは、これまで失敗を繰り返してきたことによる“諦め”の気持ちにもあるのです。
がっかりした経験が多い人ほど諦めてしまいたくもなるけれど、それではいつまでも満足いくものは作れません。目が小さくなることも、レンズが厚くなってしまうことも一旦受け入れて、そのうえで自分が好きになれるメガネ選びをすることが大切だと思うのです。
だから、度付きのメガネを作るときこそ、お気に入りのコーディネートとメイクでお店に行って、自分らしく掛けられるデザインを選んでみて。仕上がりの美しさを考えるとデザインには多少の制約もありますが、「これが掛けたい」「このデザインが好き」という気持ちをまずは大切に。セオリーの部分については、プロであるお店の方にアドバイスをしてもらえば良いんです。
そして、レンズ選びは仕上がりの出来を左右するので妥協せずに。私は強度近視でありながらある程度大きさのあるフレームが好きなので、お店の方と相談のうえ効果が出そうなら高屈折率のレンズやオーダーメイドレンズを選ぶようにしています(幸い私は、にじみなどが気になった経験がないので)。
そうしてお気に入りの1本が出来上がったら、きっと「このメガネをかけてお洒落をしよう」と思えるはず。
ちなみに、写真のメガネは私が昨年作ったお気に入りの度付きです。眩しさに弱いのでカラーレンズを使いましたが、それにより度付きにありがちな“仕方なく掛けている感”が薄まったように思います。これも、度付きをお洒落に見せるひとつの方法かもしれません。怪我の功名というやつですね。
ネイビーにヨロイのゴールドが効いたフレームには、ゴールドのアクセサリーを合わせて顔回りのポイントに。そんなふうに、目の小ささや顔の凹みばかりに目が行かないような工夫もしています。もちろん、目が大きく見えるようなメイクも楽しみながら。
きっと、これまで“強度近視の人が度付きを素敵に掛けこなす”ための情報が少なかったことも、メガネを掛けることへの後ろめたさを生んでしまった原因なのかもしれません。もっと女性が堂々と度付きのメガネを掛けられるように……。bootでも情報発信をしていきたいと思います。
伊藤 美玲
眼鏡ライター
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』『眼鏡Begin』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN』『文春オンライン』『めがね新聞』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆している。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』ではメガネの世界の案内人として登場。眼鏡の国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査委員も務める。
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