「おすすめのレンズメーカーは?」と聞かれると困る理由
CHECK!!
「今度メガネ買うんだけど、どのメーカーのレンズがおすすめ?」
眼鏡ライターという仕事柄、こうした質問を受けることも少なくありません。でも、回答に困ってしまうこともしばしば。というのも、その人の必要とする度数や、メガネを使うシーン、用途などによって、適したレンズは異なってくるからです。
たとえば、「今度パソコン買いたいんだけど、何がおすすめ?」と聞かれても、そのパソコンを使って何がしたいのか、どれくらいのスペックを必要としているのか、そもそもノートが良いのかデスクトップが良いのか……などなど、そうした追加の情報がないと答えに窮してしまいますよね。その感じに近いかもしれません。
そう。このメーカーを買えば正解、という単純な話ではないのです。
どこのメーカーの、どのレンズを、どのように使うのか。そこが重要なんです。
とはいえ、私もこの仕事を始める以前は、レンズの選択肢といえば「薄型レンズ」「超薄型レンズ」といった種類しか提案されたことがなく、メーカーやアイテム、コーティングの種類がたくさんあることは知りませんでした。きっと、そういう人が多数派でしょう。選択肢を与えられなければ、知らなくても当然なわけで……。
自分の要望をきちんと伝えて、提案を受けるべし
では、どうしたら自分のニーズに合ったレンズに出会えるのでしょうか。
そのためには、自分が「どこ(距離)を見たいのか」「何をするときに、どんなシーン(状況)で使うのか」など、提案の判断材料となる情報を、あますことなくお店に伝えることが一番の近道だと私は思います。
ある程度自分で調べてから行くのもアリですが、頑なに「これ!」と決めずに、提案に耳を傾けることも大切です。知識があり、なおかつ親身なお店であれば、ニーズや度数、そのレンズを入れるフレームなどを鑑みて、相応しいレンズをすすめてくれるでしょう。「レンズは値段がわからないから、高価なものをすすめられないか不安」という人は、先に予算を伝えて相談するのもひとつです(私も未だに、レンズの価格表を見るときはドキドキします……)。
似合うフレーム選びについての記事では「そのメガネを使うシーンやシチュエーションを考慮することが大切だ」という話をしましたが、じつのところ、それはレンズにも言えることなのです。
ちなみに、トップ画像にある3本のメガネはすべて私物の度付きで、それぞれ異なるメーカーのレンズが入っています。一番上はカールツァイスの単焦点、2番目はニコンの「シフトオン」というスマホ専用レンズ、そして3番目はコダックレンズの「ネオコントラスト」という防眩レンズです。
それぞれの詳細は、いずれお話しすることにして……。ともあれ、レンズに興味が出るとメガネはもっと楽しくなりますよ!
伊藤 美玲
眼鏡ライター
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』『眼鏡Begin』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN』『文春オンライン』『めがね新聞』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆している。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』ではメガネの世界の案内人として登場。眼鏡の国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査委員も務める。
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