【前編】RAMBLE METROPOLITAN 2023 レポート


カルトなアイウェアブランドが集う展示会「RAMBLE METROPOLITAN 2023」が、去る10月10(火)・11日(水)の2日間、原宿表参道で開催されました。この展示会は同時期に開催されるアイウェア展示会の中でもっとも小さな規模ではありましたが、そこはメガネにまつわるウェブメディアであるboot主催のイベントだけに、普通じゃありません。

豪華ゲストを交えてのトークショーに始まり、台湾を拠点にアジアで強い影響力を持っているアイウェア・ウェブメディア「SO EYEWEAR」とのメディアミックス、さらには知られざるこだわりの台湾ブランドを誘致するなど、他の展示会にはないコンテンツをギュッと濃縮。飛び交う言語も日本語・中国語・英語と、さまざまな国の人が集う国際色豊かな展示会となりました。そんなグローバルな展示会に出展したブランドを、最新情報も交えて紹介していきましょう。

XAZTLAN

読売ジャイアンツの船迫投手も展示会に駆けつけてくれました

結果が変わる。ライフスタイルが変わる。アスリートと冒険者のスポーツサングラス

日本でまだ、現代的なスポーツサングラスに馴染みのなかった時代から、そのスペシャリティとして本気のアスリートをサポートしてきたオプティシャンの中島正貴さん。彼が、長年の経験から培ってきた知識を生かして自らが考える理想を投影したのが『ザストラン』のスポーツサングラスです。同ブランドのフレームは、プロの野球選手や競輪選手、そして経験豊かなアルピニストが、彼らのフィールドでその優秀な機能性が証明されており、口コミによってアスリート界隈ではかなり浸透しています。

XAZTLAN-APOLLOⅢ


もちろんその高機能を享受できるのはプロアスリートだけにあらず。キャンパーやバサー、バイカーといったアウトドア・アクティビティを趣味とする人々も快適にしてくれます。特に本格的な供給の始まった4番目のモデル”APOLLOⅢ”は、中島さんが手掛けるもう一方のブランド『グルーヴァースペクタクルズ』の、同名の大ヒット作とのハイブリッド。都市からフィールド、フィールドから都市への境界を自由に行き来できるパスポートのような存在として重宝すること間違いなし、と言えるでしょう。

 

pLAtOy

他にはないポップなカラーリングとデザイン力で、国境を超えるアイウェア

まだまだクラシック至上主義な日本のアイウェア事情にあって『プラトーイ』は、2007年のデビュー以来、ポップなカラーとデザインを貫くブランドで、どことなくヨーロッパの香りがします。それもそのはずで、素材やパーツはすべて日本のファクトリーで供給され、それをイタリアの工場で現地の職人たちが仕上げたもの。デザイナーの石渡旭さんもまた、’80年代に日本初のグローバルなアイウェブランドの立ち上げに参画して以来、ヨーロッパの感性に慣れ親しんできた御仁だけあって、そのデザインセンスも型に嵌らない自由さが魅力なのです。

そんなプラトーイが”Achi”、”Juice”、”Banks”、”Swagger”の4作品を新たにリリース。曰く「奇を衒ったデザインは嫌いなので、いつもながらの」石渡流オーソドックスなデザインを具現化。それに加えてニューカラーの”Rose”をプラスしてバイヤーたちの注目を浴びていました。確かに無難なクラシックに慣れた人には奇抜に見えるかもしれませんが、掛けてみれば納得。すごく顔馴染みが良いんです。今年はパリの国際展示会でも「ウエアラブル」という言葉を頻繁に耳にしましたが、まさにそれを体現する作品が揃いました。

 

22°Eyewear

香港の巨匠が手掛けるサステナブルで機能的、そしてデザインコンシャスなブランド

Pazo Hoさんは香港におけるジャパンブランド人気の基盤を築き上げた一人で、現在も自身のストア『22°オプティカル』のオーナー兼バイヤーを務めながら、さらにデザイナーとして『22°Eyewear』を手掛けています。まさにアジアン・アイウェア界のキーマンと呼べる存在のPazoさんは、昨シーズンからRAMBLEに参戦しています。100種類以上のデザインバリエーションを誇るフレームはドローイングから構造設計、生産までのすべてが彼自身の手によって行われており(そしてケースまでも! )、名実ともにオールハンドメイド、なのです。

ネジを用いないヒンジやチタン製の極細テンプルに加え、リサイクル可能な樹脂素材を使って3Dプリンターでフロントを生産することで、サステナブル・高剛性・軽量性・抗アレルギー性を具現化しており、前衛的ともいえるデザインは高い機能性や健康・自然への配慮が常に隣り合わせになっています。すでにヨーロッパのオプティカルストアが取り扱っており、日本でもグローバルな視野をもつオプティカルショップから注文が入るようになってきた、とのこと。よりパーソナルなフレームに巡り合えていないユーザーは、ぜひチェックすべし、なブランドです。

 

CHUMS

アウトドアをカジュアルに昇華したブランドから、充実のサングラスコレクションが到来

ポップなデザインやカラーを取り入れ、ストイックで閉鎖的だったアウトドアライフをもっと気楽に楽しめ、カジュアルな趣味へと導いてくれた『チャムス』。だからアウトドアブランドとして捉える人も少なくないですが、元はと言えばアメリカのリバーガイドが、激しい動きで何度もサングラスを川に落としてしまったことからリテーナー(グラスコード)を作り始めたことがブランドの出自。カラフルで元気になるリテーナーは数多くのバリエーションがあり、今もブランドが初心を忘れていないことが窺えます。

それだけアイウェアに所縁のあるチャムスですが、以前から「リテーナーに似合うサングラスが欲しい!! 」というファンからの声が沢山ありまして。そんな熱烈な声援に応え、ついにオリジナルのサングラスコレクションが充実し始めてきました。彼らが手掛けるグッズと同じく、カラフルで透明感のあるフレームカラー&偏光レンズを標準装備したサングラスに加え、折り畳み式のクリップオンサングラスなど、チャムスが得意とするフィールで大活躍する仕様。コストパフォーマンスにも優れているので、リテーナーとともに季節や気分で着せ替えなんていうのもアリですね!

 

OGK カブト

もっと軽くて心地良く、カジュアルに。日本のスポーツサングラスがブレイクスルー

バイクや自転車用ヘルメットを中心に、カラダの末端である頭・目・手を守るギアを本気で開発する『OGKカブト』は、常にテクノロジーのアップデートを試みています。その中でも全力で新開発にチカラを入れているサイクルスポーツのマーケットは、日本だけに留まらず海外へも積極的に目を向けているので、毎回RAMBLEで新作を拝見するのが楽しみで仕方ないんです。

今回は製品化へ秒読み段階のモデルのラピッドプロトタイプ(3Dプリンターを使ったモックアップ)のお話を聞きました。ひとつはフレームを介さず直接レンズにヒンジ&テンプルをレイアウトした超軽量モデル。ライト&コンフォートをコンセプトにしたこのフレームは通常が28g程度(これでも充分軽いけれど)のところを20gまで軽量化。自転車競技よりも激しく動く、トレイルランなどを視野に入れており、軽いゆえにズレにくいそう。もう一つがよりフロントシェイプを大きくしたモデルで、お洒落でカジュアルにサイクルスポーツを楽しむ韓国市場を狙ったもの。大ぶりなレンズシェイプは小顔効果もあり、SNSでの“映え”にも貢献してくれそうです。

 

GROOVER SPECTACLES

失われつつある、日本の伝統的な工業製品の技術をフルスウィングで投入してみる

メガネ界の反逆児『グルーヴァー スペクタクルズ』が今回発表したのは、昨年4月のRAMBLEでデビューした同ブランドの新コレクション“BEYOND THE GROOVER”のニューモデル“BACKMAN”と“FABIEN”の2型。ともにテンプルの裏側に馬蹄型のメタルデコレーションが施され、8mm厚のアセテートを削り出したボリューム感に対して、微細に丸みを帯びたエッジや削り落とされた高低差など、緩急ある造形を具現化していました。

デザインには一見するとアメリカ由来のようなモチーフが施されていますが、それらはすべて日本の宗教建造物や民芸品の金具などからインスピレーションを得たもの。また製法においても、手間が掛かることから用いられなくなった金銀二色のメッキ加工や、複雑なカッティングなど、あえて難易度の高い技術を採用しているとのこと。それは次世代の職人に伝統技法を継承していくことと、世界に対して日本の工業製品の底力を誇示する、という二つの意味が込められているようです。

 
 
いかがでしたか!? さて次回は、日本初上陸の台湾ブランドを紹介しましょう。冒頭で語った通り、台湾のアイウェアメディア『SO EYEWEAR』との協力により実現したコンテンツ。彼らが太鼓判を押す、ホットな台湾ブランドとは? こうご期待!!

 

 
 

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