「英国文化」そのものを体現するカトラー アンド グロス

ファッション好きであれば一度は名前を聞いたことがある。そして聞いたことがなくても映画や音楽の世界で、知らない間に目にしている。クラシックからアバンギャルドまで。そんな英国の国民的ブランド、「カトラー アンド グロス」の魅力を紹介します。

ナイツブリッジから世界へ飛翔した新時代のスタンダード


’60年代の英国は王室を発祥とする伝統的なしきたりを守り続ける社会と、そこに常に不満を持つ労働者階級の間に大きな歪みができ、アメリカと同調しながらカウンターカルチャーが育まれた時代でした。当時のロンドンは若者たちに新しい価値観を与える苗床となり、新しい音楽やファッションを生むメルティングポットのようでもありました。果たして伝統と革新の調和が整った頃、眼鏡学校からの友人同士で、ともにオプティシャンとして活躍していたグラハム・カトラー(トップ画像向かって右)、トニー・グロス(同じく向かって左)の両氏がブランドを結成します。それが『カトラー アンド グロス』の始まり。

彼らは翌年、ロンドンのナイツブリッジに1軒の眼鏡店を開業しますが、そこは自分たちが想うクオリティとかけ心地、それでいてクールなフレームを直接お客さんに手渡す、ビスポークを得意としていました。この当時の英国ではNHS=National Health Service:国営医療保険制度の名のもとに、メガネを必要とする国民にフレームを無償提供していました。そんな時代において自分らしさを主張できる独創的なアイウェアを求めて、感度の高い人々がナイツブリッジを目指したのは言うまでもありませんよね。やがてその評判はミュージシャンや映画スター、果ては王室にまで届き、英国を代表するブランドにまで成長しました。

継承されるべきクラシックマナーと挑戦的なデザイン


カトラー アンド グロスのオプティカルフレームやサングラスは“英国文化”そのものを具現化していると言えます。直近では映画「キングスマン」に登場する人物全てのアイウェアをカトラー アンド グロスが手掛けたことで話題となりましたね。

そこにはクラシカルな“道具”としての美意識があり、それでいてエッジとボリュームからなる挑戦的なカッティングが同居しています。つまり個性的ではあっても基本を外さずにやりすぎない、絶妙なバランスの「寸止め感」が持ち味と言いますか。このマナーはブランド設立以来、ブレずに継承されているのも英国らしい頑固さが垣間見えます。

キングスマンを彷彿させるアヴィエイタースタイルの“0822”


レンズシェイプそのものはクラシカルだがテンプルの太さに圧倒される“0692”


’70年代のスタイルをアップデートした“0811”もロングセラーモデルの一つ

ファッションでいうなれば、ポール・スミスのようなヒネリのあるクラシック的存在。そう、実はポール・スミス本人とカトラー アンド グロスも長年の友人であり、数年前からポールスミスブランドのアイウェアコレクションはカトラー アンド グロスが監修しているというのも興味深いですね。

ポール・スミスのためにデザインされたサングラス“Bernard”

現在はマリー・ウィルキンソン氏がブランドを牽引

デザインは長らく創業の二人が監修する下、ショップのマネージメントからデザインまで30年以上も彼らを支えてきたマリー・ウィルキンソン氏が手掛けていますが、惜しくも2018年3月にトニー・グロス氏が78歳で他界。現在はウィルキンソン氏が先頭に立って立派に彼らの伝説を継承しています。

引用:www.sunglasscurator.com

 

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