ビジネスを成功に導くメガネの選び方

 決して胸を張っておススメできる趣味とは言えませんが、職業柄というべきでしょうか。平日の電車の中や商業施設で、ついついビジネスマンの装いをチェックしてしまいます。そういうのは大概がダメな方に目がいってしまうものです。「靴が合皮で、さらにつま先がボロボロ」とか「ビジネスシャツで色付きのボタンはありえない」とか。

 同じようにメガネにもビジネスに向き不向きがあって、ハズシのつもりが本当にハズレてしまっている御仁に遭遇することも少なくありません。もちろん職種や業界、会社のドレスコードや年齢によっても掛けるべき(掛けることが許される)メガネは千差万別です。そしてその「正解」も決して一つではありません。当然ながらファッション業界の方々やクリエイターの方々は、すでに自分の正解に辿り着いていらっしゃるでしょう。そこで今回は、いまだ迷えるオフィス街の企業戦士諸兄に、ビジネスメガネ選びのポイント&オススメのフレームを紹介しましょう!

 

サラリーマンとメガネの関係

とんちの効いた逸話で知られ、アニメや絵本でも馴染みの深い僧侶「一休さん」にこんなエピソードがありました。とある富豪の法要にお経を頼まれ、みすぼらしい衣で訪ねたところ、邪険に扱われて追い返されてしまった。そこで豪華な法衣に着替えて再訪すると、今度は大歓迎された。一休さんは仏前でその法衣を脱ぎ、「あなた方がありがたいと思っているのはお経ではなくこの法衣ですから、この衣に拝んでもらってください」と言い放った。

人は身なりで判断してはいけないという説法ですが、その話から600年経った今も人は見た目、第一印象で判断されてしまいます。ならば開き直ってメガネにお仕事をしてもらいましょう。つまり、貴方の仕事に対する姿勢や相手に対する想いを上手く表現するために、メガネが持つキャラクター効果を活用しようというハナシです。そこで大別して3つのキャラクターを設定して、シチュエーションごとに考察していきましょう。ただしどのシチュエーションでも大前提として覚えていただきたいのは、しっかりフィットしたフレームを掛けることと、レンズは常に綺麗にしておくこと。ズリ下がったメガネや指紋でベタベタのレンズは、商談中に相手の鼻から飛び出した鼻毛と同じくらい気になりるので要注意です!

 

シチュエーション1:一人前に成長を遂げるフレッシャーズな20代~

新人社員に求められるもの。それは物事に真剣に取り組む「誠実さ」や失敗してもめげない「タフさ」ではないでしょうか。さらに仕事でミスっても憎まれない「愛嬌」も持ち合わせていればパーフェクト。それらを統合してメガネに落とし込むなら、間違ってもカラーフレームやゴテゴテしたデザインモノではないことはお判りでしょう。フレッシャーズの定番メガネと言えば一昔前ならメタルフレームが鉄板、だったのが最近では適度な丸みがあるボストン型も柔和なイメージがあって人気です。上司や先輩、得意先からも可愛がってもらえるメガネキャラなら出世が早まる、なんてこともあるかもしれませんね⁉ そんな誠実さに溢れたフレームを2本ピックアップしてみました。


1本目はセルフレーム。太枠のセルは主張が強くなりがちですが、細身で丸みのあるシルエットで悪目立ちしないのが『H-fusion(エイチ フュージョン)』の“HF-131”。よく見るとエッジが立っていて、柔和さを醸しつつ顔をキリッと引き締めてくれます。


そしてもう1本が『CLAYTON FRANKLIN(クレイトンフランクリン)』の“CF-636”。こちらはメタルとセルのコンビフレームですが、メタルのリム(レンズ枠)の内側に極薄のプラスチックリムを挟んだもの。この微細な縁取りが顔に温かみをプラスしてくれます。

 

シチュエーション2:ビジネスの最前線で戦くバリバリ現役の30~40代

30代後半~40代は、若き日にストリートカルチャーを謳歌した世代。同世代向けのメンズ誌が元気なのも、培ってきたファッション感やライフスタイル感が下地にあるからと言えるでしょう。そんな彼らのビジネス像は、与えられた以上の仕事をこなしてアフターフォローも万全。ゆえに重役からは厚く信頼されて、部下からは慕われる……という、スマートかつ包容力のある存在、でしょうか。さてそんな世代だからこそ「ビジネスにも個性を」と“オシャレに疎い人”がつくった珍妙なデザインは避け、ファッションやストリートカルチャーと少なからず関連性のあるブランドからピックアップしたいですね。


『YUICHI TOYAMA(ユウイチ トヤマ)』は、今や海外にも知名度を轟かせるドメスティックブランド。“ダブルダッチ”と名付けられたコレクションは、2本のロープを交差させて遊ぶストリート由来の縄跳びに着想したフレーム構造。代表作“U-116”から見て取れるようにブリッジ形状が独特ですが、顔馴染みの良さは格別です。


もう一方は日本のファッション界の礎ともいうべき「VAN」のアイウェアラインという出自を持つ「EYEVAN(アイヴァン)」、そのハイエンドライン『10 EYEVAN(テン アイヴァン)』。特別に誂えた10個のパーツをメインに、精巧で美しいフレームを輩出しています。たとえば“No.211”は、ハーフリム(レンズ枠が上、もしくは下半分のもの)のようでいてツーポイント(1枚のレンズの2か所に直接孔を開ける構造)、というヒネリの効いたデザイン。一見シンプルでいて実は緻密なつくり。デキる男の仕事観に通じるものがあります。

 

シチュエーション3:億単位のプロジェクトをまとめる重鎮的な50代~

以前、万年筆の取材をした時に「億単位のお金が動く重要な取引の調印を100均のボールペンで済ませて良いのか」という話を拝聴しました。確かに安価な筆記具でもサインそのものは果たせますが調印式というセレモニーには、それなりの風格や風情があってしかるべきかと。メガネもこういう時こそ“勝負メガネ”を用意したいものです。ただし輝石やゴールドといった、いかにも“高そう”な面構えの装飾は避け、さりげなく上質なモノを身に着けたいですね。たとえばイノベーティブな技術を駆使した工業製品的なカッチリさと、一つとして同じものが存在しない天然素材を融合させたハイエンドなフレーム。


中でも一押ししたいのが『ic! Berlin(アイシー! ベルリン』』がエクスクルーシブな別ブランドとして位置付ける『onono(オノノ)』。彼らが開発したネジを使わないヒンジ(=丁番)システムを選りすぐりのバッファローホーンと組み合わせたフレームは、21世紀のラグジュアリズムの進化論に一石を投じました。


そしてもう1本。天然素材×イノベーションのフィールドで光彩を放っているのが『LUCAS de STAEL(ルーカス ド スタール)』です。こちらは経年変化にとんだ高級レザーや、特殊な技法を用いて実現した“石”を用いたエポックメイキングなプロダクトを輩出し、メガネ業界をザワつかせています。どちらのブランドも“いかにも”なデコレーションを排した洗練のデザインが秀逸です。

 

 

いかがでしたか?今回は平均的な都市部の商社をサンプルにシュミレートしてみました。しかし前述の通り、職種や業界、その社風によってもドレスコードは異なります。またその許容範囲は時代とともに広まってきました。皆さんもぜひ自分のお仕事に当てはめて”出世効果”の高い(?)メガネを探してみてください‼

 

 



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