高校野球のサングラス
このコラムがアップされる頃は、きっとオリンピックが大いに盛り上がっていることでしょう。ですが、夏といえばこちらも忘れてはいけません。そう、全国高校野球選手権大会(甲子園)です!
正直なところ、私はスポーツに興味があるほうではないのですが、野球だけは別。中学・高校時代はプロ野球にドハマリしていたこともあり、今でも野球の試合を見るのは好きです。さらに夫が無類の野球好きとあり、我が家では7月から地方大会の中継や結果を伝える番組が連日のようにテレビから流れてきます。
夏の炎天下、セミの声が響き渡る球場で一生懸命試合をしている高校球児の姿たるや。やはり心を打たれてしまうわけですが、その一方で心配になるのです。「こんなに日射しを浴びっぱなしで大丈夫!?」と・・・。
CHECK!!
サングラスは禁止されていない
高校野球といえば丸刈り(という暗黙のルール)に代表されるように、規律が厳しいイメージがあります。とはいえ、サングラスの着用は禁止されているわけではありません。
日本高等学校野球連盟のWEBサイトには「高校野球用具の使用制限」について記載があり、ユニフォームをはじめ手袋やサポーターに至るまで細かくその規定が書かれています。その18項では、サングラスについても触れられています。
・サングラスを使用する可能性のある時は、試合前(メンバー交換時)に主催者・審判員に申し出て許可を得たものの使用を認めることとする。
・メガネ枠はブラック、ネイビーまたはグレー(ホワイトは不可)とし、メーカー名はメガネ枠の本来の幅以内とする。グラスの眉間部分へのメーカー名もメガネ枠の本来の幅以内とする。なお、メーカー名はメガネ枠と同色とする。また、著しく反射するレンズのサングラスの使用は認めない。
上記において「メーカー名はメガネと同色とする」という規定は2017年に加えられたもの。2年の猶予期間を経て2019年4月から同色のみに限られているそうです。
いやはや、デザインについてこんなに細かい規定があったなんて。お恥ずかしながら、今回調べるまで知りませんでした。
じつは各メーカーからはこれらの規定に対応した「高校野球対応モデル」が販売されています。たとえばこちらは、山本光学が手掛けるSWANSの「FACEONE」というモデル(品番:FO-0001BB MBK)です。
同社の担当者に話を伺ったところ、こうしたモデルが展開されている一方で「認知が広がるのはまだこれから」とのこと。
「ですが、『着用すれば眩しさが抑えられボール等の視認性が高くなる=試合を優位に進められるギア』であることや、『紫外線から目を護ることが生涯の健康のためにも必要である』という認識を持っている指導者の方も徐々に増えてきています。弊社としても引続き啓蒙を続けていく予定です」。そう話してくれました。
最近プロ野球のデーゲームを見ているとサングラスを着用している選手が増えているように思うのですが、それは上記のコメントにある“サングラス着用のメリット”が、浸透してきているからなのでしょう。
一方、ある種独特な空気感のある高校野球という世界では、目の疾患など特別な理由がない限り、サングラスを掛けることは難しいのかもしれません。ですが目に対する紫外線の弊害がこれだけ語られるようになった今、私としてはむしろ推奨したほうが良いように思うのです。
現在、オリンピックではスポーツグラスやサングラスを掛けて活躍している選手の姿が目立っています。これをきっかけに、その有用性が広く知られることになればと願わずにはいられません。
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伊藤 美玲
眼鏡ライター
東京都生まれ。出版社勤務を経て、2006年にライターとして独立。メガネ専門誌『MODE OPTIQUE』『眼鏡Begin』をはじめ、『Begin』『monoマガジン』といったモノ雑誌、『Forbes JAPAN』『文春オンライン』『めがね新聞』等のWEB媒体にて、メガネにまつわる記事やコラムを執筆している。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』ではメガネの世界の案内人として登場。眼鏡の国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査委員も務める。
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