-光過敏とサングラス①-サングラスは自分を守るためのもの

ある日突然、光がつらいものに

「光過敏」。

眼鏡ライターである私も、じつは3年前程までは知らなかった言葉です。知らなかったというよりは、光によって何らかの不調をきたす自分の症状に名前がつけられていることを、この時初めて知ったと言ったほうが正しいかもしれません。

これまでSNSなどにも書いてきましたが、私は3年前から耳鳴りと、頭全体で雑音がなり続ける頭鳴(ずめい)の症状を抱えています。ある日突然耳鳴りが始まり、いつしかそれは頭の中全体で鳴るように。以降、ほぼ消えることがなくなってしまいました。今も、「ジーーーー」と遠くでセミが鳴いているような音のなかで、この原稿を書いています。

そして、この耳鳴りや頭鳴と同時に症状として表れたのが光過敏です。太陽の光はもちろん、テレビや家の灯りまで眩しく感じられ、ひどいときには真っ暗な部屋に閉じこもり過ごしていたことも。一般的には眩しいと感じられていないような光でも、私にとっては大きな負担となってしまいました。もともと子どもの頃から「ドラキュラ」とからかわれるほど日の光には弱かったのですが、頭鳴を発症したことでそれが顕著になってしまったのかもしれません。

 

自分を守る手段としてのサングラス


その頃、たまたま別件で連絡を取っていた眼鏡屋さんに自分の身に起きていることを告げると

「もしかしたら、それは光過敏かもしれない」

と言われ、私はこの時初めて「光過敏」という言葉を知ることに。すぐさま直接お店へ相談しに行き、今では欠かすことができなくなった青いレンズの色付き眼鏡を作りました。さらに紹介してもらった病院で「脳過敏症候群(※)」との診断を受け、投薬を受けたことで今ではこれまで通りの生活を送ることができています。

とはいえ、耳鳴りや頭鳴が完全に消えたわけではありません。ある程度マシになったとはいえ、光過敏の症状もまだ残っています。そんな私に欠かせないのは処方された薬と、サングラスです。日常的にサングラスを掛けることで、直射日光を浴びるたびに感じていた“意識が遠のく感じ”はだいぶ和らいでいるし、室内で感じるLED照明のチラつきや眩しさも軽減されています。本当にサングラスに助けられているなと感じる毎日です。

そう。私にとってのサングラスは、毎日をなるべく健やかに過ごすための予防薬のようなもの。サングラスを掛けることで、光によって起きる身体の不調を和らげることができます。
人によって程度が違うのでこれはあくまで一例ですが、私の場合サングラスなしでは視界に支障をきたしたり、ただちに生活が困難になったりするわけではありません。

ですが、屋外での行事にサングラス無しで参加すれば夜は必ずといっていいほど頭痛に悩まされるし、最悪の場合その場で立ち眩みを起こしてしまうことも。商品が明るく照らされたスーパーマーケットに行けば気分が悪くなり、日差しの強い日にバスや電車に乗ると乗り物酔いしやすい。眩しいテレビ画面を見続けていると、目の奥や後頭部が締め付けられるような感覚になってしまう……。

「なんだ、そのぐらいなら我慢できるでしょ?」

そう思った方もいるかもいるでしょう。そうなんです。我慢しようと思えば、できなくはない。実際、「単なるワガママ」「神経質過ぎ」と言われることもあります。でも、頭痛だって吐き気だって、防げるものなら防ぎたい。起こらないほうが仕事にも打ち込めるし、自分の時間だって楽しめるのだから。それに、家族や周囲の人にだってなるべく心配を掛けずに過ごしたい。

そう。だから自分の身体は、自分で守るしかないんです。

きっと、我慢しようと思えばできてしまうからこそ、“色眼鏡”で見られるよりも掛けないことを選択している人は多いんじゃないかなぁ。でも、周囲の目を気にすることで、自分の行動が制限されてしまうなんてもったいないこと。

小さな不調も、毎日続けば大きな負担になります。だから、光がつらいときは我慢しないでサングラスに頼ってほしい。何か不調があれば薬を飲んで対処するように、つらいときはサングラス掛けたらいいんです。眼鏡ライターとして、そして光過敏の当事者として、私はそう思っています。

……そうはいっても、サングラスを日常的に取り入れるのはまだまだハードルが高いことももちろん知っています。そもそも、「自分にはサングラスが似合わないから」と我慢している人も少なくないでしょう。というわけで、次の記事では光過敏当事者の眼鏡ライターとして、日常的に取り入れやすいサングラス選びをアドバイスできればと思います。

 
※脳過敏症候群
頭痛からめまいや耳鳴りに―脳過敏症候群
片頭痛への誤った対処法が原因(時事メディカル)
https://medical.jiji.com/topics/1748

 
 

 

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。