50周年記念写真展の開催も! 今こそ語りたいアイウェアブランド「アイヴァン」の真価

昨年50周年を迎えたアイウェアブランド、「アイヴァン(EYEVAN)」。10月5日(木)からは表参道の青山スパイラルガーデンにて、写真家に操上和美氏を迎えた写真展『50,50 FIFTY GENTLEMEN OF EYEVAN』が開催される。そこで今回は、アイヴァンの歴史やその魅力について改めて迫ってみようと思う。

 

日本初の“ファッションアイウェアブランド


アイヴァンは、1972年に「着るメガネ」というコピーを引っ提げデビューした。当時はまだ眼鏡が医療機器としてだけしか捉えられていなかった時代。だが、山本防塵眼鏡の専務であった山本哲司氏(現:アイヴァン会長)は、海外の展示会への視察時に眼鏡がファッションアイテムとして打ち出されているのを目の当たりにし、“これからの時代、眼鏡はTPOに合わせて着替えるものになる”と確信した。そこで、当時アイビーファッションブームの頂点にいたヴァンヂャケットと提携し、アイヴァンを立ち上げた。ブランド名の由来は、「目(EYE)のVAN」。名づけ親は、ヴァンヂャケットの創始者・石津謙介氏である。

「眼鏡はファッションに合わせて着替えるもの」。そのコンセプトを“着るメガネ”という端的でいてインパクトのあるコピーに込め、ファッションを軸にしたデザインを展開。取扱店向けにファッションセミナーを開催し販売側の意識改革を図ったほか、雑誌やテレビなどへの広告、お洒落なノベルティを用意した販売促進戦略などにより、眼鏡はファッションアイテムであることを徹底的に世に啓蒙した。今では当たり前となったシーズンごとの新作発表も、日本ではアイヴァンが先駆けと言われている。アイヴァンの存在が、日本において眼鏡=アイウェアという認識を加速させたといっても過言ではないだろう。

 

「ボストン」「ウェリントン」の名付け親

眼鏡のフロントの形を表す、「ボストン」や「ウェリントン」という名称。眼鏡好きなら、この名の由来などを調べたこともあるかもしれないが、じつはこの名付け親はアイヴァンの山本会長だ。

1977年、アイヴァンは学生向けの眼鏡ブランド「アイビーリーガーズ」をリリース。米国アイビーリーグ大学で学生を視察し、本場のスタイルを取り入れて出来上がったのが、今でいうところのボストンとウェリントンだった。これらのモデルに名前を付ける際、「世界地図から、最後に“トン”と付く地名を探して採用した」と後に山本会長は語っている。そう、もともと「ボストン」「ウェリントン」はアイビーリーガーズの特定のモデルに付けられた固有名であったわけだが、この2型が大ヒットし、雑誌などへの掲載も多くなったことから、形を表す名称として浸透してしまったというわけだ。

なぜこれらの形に日本独自の呼び名があるのか、そしてなぜそれらが土地名に由来しているのか筆者も長年謎だったが、山本会長から直接この話を聞いたときは、まさに目から鱗であった。ちなみに、その当時スクエア型のフレームには「レキシントン」との名を付けたそうだが、“スクエア”で通じるためか浸透しなかったのだそうだ。

 

眼鏡界の巨匠も惚れ込んだ伝説のモデル


1985年、アイヴァンはアメリカ・アナハイムで開催されたアイウェアの展示会、オプティフェアウエストに出展した。すると後にアイウェアブランド「オリバーピープルズ」を立ち上げるラリー・レイトの目に留まる。なかでもラリー氏を魅了したのが、「0505」というモデルだ。プラスチックのリムに繊細な彫金が施された美しいメタルブリッジを合わせたそのスタイルは、ヴィンテージの趣きがありながら斬新で、かつ上品さも漂う。この造形美に惚れ込み、ラリー氏らオリバーピープルズの創業メンバーはアイヴァンにフレームの製作を依頼。そのモデルは「OP-505」として発表され、今なお続くベストセラーとなっている。

その出会いをきっかけに、1989年よりアイヴァンはオリバーピープルズ社と眼鏡の製造、販売ライセンス契約を締結し、約30年間にわたり生産を請け負った。そうしたなかで、ブランドとしてのアイヴァンは一時休止するが、2018年に満を持して復活。その際、「0505」は「E-0505」として復刻され、アイヴァンを代表するモデルとなっている。

 

日本を代表するアイウェアブランドに

現在、アイヴァンのオリジナルレーベルは、EYEVAN、EYEVAN 7285、10 eyevan、Eyevol、E5 eyevanの5ブランドとなっている。それぞれのブランドの魅力について語ると長くなるが、いずれもヴィンテージテイストのデザイン、日本製ならではの高い品質、作りの良さゆえの気品ある佇まいが魅力だ。

プロダクトの魅力はもちろんのこと、アイヴァンは1972年のブランド設立当初からとにかく“眼鏡のファッション化”に貢献してきたブランドであることも特筆に値する。

現在もなおファッション誌やWEBメディアへの露出を高めることで、上質でハイセンスなアイウェアブランドとして認知度を高めているのに加え、50周年を迎えた昨年には、ダンサーの菅原小春さんを迎えて「EYEVAN 50th Anniversary Runway 眼服 EYEWEAR」と題したショーを開催。今年は操上和美氏の写真展を開催するなど、各業界のトップクリエイターを招いた企画によりブランドの、ひいては日本のモノ作りの魅力を様々な形で発信している。こうした取り組みを行なうことができるアイウェアブランドは、日本において本当に稀有な存在だ。

50周年を迎えたアイヴァンは、100年ブランドとなるべく次なる歩みを進めている。今後の展開にもぜひ注目したい。

 
 
 


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